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軒と中庭の家[松本の家IV]

設計 粕谷淳司+粕谷奈緒子/カスヤアーキテクツオフィス
施工 ASJ 松本中央スタジオ[松本土建株式会社]
構造 木造在来工法 地上2階
撮影 吉村昌也

敷地を初めて訪れたとき、私たちの印象に残ったのは、敷地西側に接する道の緩やかなカーブの連続と、沿道に植えられた生垣と花々が作り出す、静かで暖かな雰囲気でした。緩やかなカーブは、この道が敷地近くを流れる小川の土手道であり、古くからこの場所にあったのだということを暗示しています。この道沿いに、もうひとつ「小さな花壇」を加えることで、かつてそこにあった穏やかな田園風景を連想させ、また、その花々が映える「背景」としての住宅の佇まいを考えたいと思いました。

道路に面した建物は平屋で高さが抑えられており、北側に大きく張り出した庇(ひさし)と相まって、水平線が強調された外観を作り出しています。西側道路に沿った「花壇」の背景とな る白い壁面には、わずかな開口部しかないため、建物は静かな壁のような佇まいとなり、北側のカーポートを兼ねた大きな庇は、人を迎える玄関に相応しい外観を作り出します。外観の静謐な雰囲気は、中に入ると一変します。南側に向けて開かれた陽だまりの中庭 を囲むように配置された諸室には、それぞれ開口部が設けられ、中庭越しに家族が向き合うことで、気取らない雰囲気が作り出されます。

2世帯の住宅は、それぞれ独立した玄関を持ち、キッチン・リビング・ダイニングも別個に備えていますが、2世帯が中庭を挟んで向かい合い、互いの雰囲気を伝え合うように計画されています。また、1階のトイレ、バスルームは2世帯の中間に位置し、どちらの世帯からも「離れ」となる位置に計画されています。これは互いの家事負担を減らし、気遣いも極力少なくてすむような、現実的な配慮によるものです。

敷地南西の勝手口から子世帯に至る外部通路は、親世帯のリビングルーム南側に接する「縁側」のような役割も兼ねています。この「縁側」が、ごく自然に世代を超えたコミュニケーションを日常生活にもたらすことが、設計者としての私たちの願いです。(粕谷淳司+粕谷奈緒子)

■軒と中庭の家[松本の家IV]

所在地

長野県松本市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+子供 2 人+母

設計

粕谷淳司+粕谷奈緒子/カスヤアーキテクツオフィス

施工

ASJ 松本中央スタジオ[松本土建株式会社]

構造・構法・規模

木造在来工法 地上2階

建築面積 147.85㎡

延床面積 161.81㎡

竣工年月

2017年11月

撮影

吉村昌也

1階平面 縮尺1/200
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2階平面 縮尺1/200
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断面図 縮尺1/200
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配置図 縮尺1/3000
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粕谷淳司

1971年東京都生まれ/1995年東京大学工学部建築学科卒業/1997年同大学院修了/1998年株式会社アプル総合計画事務所入社/2002年カスヤアーキテクツオフィス設立/2008年~2012年明治大学兼任講師/2011年~2013年工学院大学非常勤講師/2013年~関東学院大学専任講師/2018年~同大学准教授

粕谷奈緒子

1971年大分県生まれ/1994年日本女子大学家政学部住居学科卒業/1996年同大学院修了/1996年武田光史建築デザイン事務所入所/2003年ミリグラムスタジオ入所/2005年カスヤアーキテクツオフィス共同主宰 /2007年~2014年東洋大学非常勤講師/2008年~2012 年文化学園大学非常勤講師/2014年日本大学非 常勤講師/2012年~日本女子大学非常勤講師

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