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ASJ Works Close-up

住み継ぐことの喜びが味わえるリフォーム

奈良県奈良市

佐紀町の家

設計 進藤勝之/Atelier SETTEN
施工 ASJ奈良スタジオ[株式会社日本中央住販]

ウッドデッキは「アウトドア気分を味わいたい」というO さんの声から誕生。

「古い小学校のような」という夢は梁や天井を効果的に活かしたリフォームで実現。①

世代を超えて住み続けてほしい――。そんな願いが込められているような太い梁。吹き抜けへの改築は、祖父母の思いに触れる機会となった。
 平城宮跡が広がる奈良市佐紀町。両親と祖父母が暮らす純和風の実家へは、子どもの成長を待って戻るつもりで、Oさん夫妻は近所のマンションで暮らしていた。
 「両親と祖父が相次いで亡くなってしまいましてね。これは帰らなあかんと。マンションを出ました」。
 風格のある門構えの屋敷は、木造建築の粋を集めたような構造。でも、築約四五年という歴史に、幼い子どもがいる若夫婦は、住み辛さを感じるようになった。何でもくちに入れる幼児には、殺虫剤が不可欠な住まいは心配でもあった。
 「母は、生前、台所などは妻が使いやすいように改装すればいいよといってくれていました。そこで、二人目が生まれることもあり、思い切って建て替えをと考えたのです」。
 当初は、自分たちが理想とする暮らしの実現には、建て替えしかないと思っていたという。でも、Oさんには、思い出が詰まった家だけに、残せるなら残したいという気持ちも強かった。そんなとき、ASJの広告を見て訪ねたのが奈良スタジオだった。
 「建築家展が開催中だというので、急いで会場へ。そこで出会ったのが建築家の進藤さんです」。

純和風建築の母屋にもともとつながっていた増築部を違和感なくリフォーム。②

引き込み木製建具の開口部を介してつながる小上がりとウッドデッキ。④
奥さまの要望で京唐紙貼りの襖を飾った。③

周囲が見渡せるキッチンは疲れにくいと奥さま。⑤

「子どもを寝かしつけるのにも便利」という、進藤氏(左)の提案でつくられた小上がりのあるリビング。⑦
仏壇のある座敷とリフォームしたエリアを結ぶ廊下は若夫婦の思いもつなぐ。⑥

そのナチュラルなファッションセンスと年齢が自分に近いこと、同じ年頃の子どもを持つことなどから、進藤氏は、直感を大切にするOさんにとってかなり気になる存在となった。しかし、その後もハウスメーカーなどと接触。他社を知ることで、かえって「設計は感性が合いそうな進藤さんに」という気持ちが強まったとか。 こうしてASJとの契約が結ばれた。自分たちが描くライフスタイルを図面に具体化してくれる進藤氏は、まるでカウンセラーのようで、「家づくりは初心者」というOさん夫妻には、頼れる存在になっていったという。
 「要望を十ヵ条にまとめ、優先順位をつけましょうとおっしゃって。夫は『古い小学校のような』など、抽象的なことばかりいっていましたが、私は『キッチンにはパンづくりができる作業台を』『玄関は広く』といった具体的な希望を伝えました。そのどちらもかなえていただいて、夫の直感はすごいなと」。
 Oさんの傍らで、奥さまが満足そうに話される。こうして、建て替えることなく、祖父母が建てた増築部のリフォームで、Oさん夫妻の望む暮らしは、実現した。 玄関の右側には、吹き抜けのダイニングキッチンを中心に、無垢の木をふんだんに使った空間が広がり、左側には、今回つくった廊下に沿って、仏間などが残されている。
 「父や母たちの思いと僕たちの思いをしぜんなかたちで融合することができました。仏壇からはダイニングにいる僕たちの姿が見えるはずです」。
 母屋の二階は、将来、子ども部屋にする予定だとか。 「息子たちが年ごろになったときにリフォームをと考えています。そのときも進藤さんにお願いしようと。いまから楽しみですね」。
 奥さまの言葉にも、住み継ぐことの喜びがあふれていた。

(取材/香川泰子)

ダイニングの上のロフトはO さんの書斎スペース。壁は奈良吉野の杉板を使用。⑧

小屋裏納戸だった2階の一部は吹き抜けに。⑩
リビングに設けた小上がり小屋裏納戸だった2階の一部は吹き抜けに。⑩ は1.5帖。Oさん家族ならではの場所。⑨
After⑪母屋と増築部をつないでいるだけの空間をダイニングキッチンに。
Before
Before
客間を小さくして直接座敷に行ける廊下を新設した。⑫
Before
After⑬改修前(左)よりも母屋との一体感が強くなった増築部。

■佐紀町の家

所在地

奈良県奈良市

主要用途

住宅

家族構成

夫婦+子供2人+祖母

設計

進藤勝之/Atelier SETTEN

施工

ASJ奈良スタジオ[株式会社日本中央住販]
担当 妹尾和代

構造・構法・規模

木造
地上2階 
延床面積 220.82m2
 1階   150.96m2
 2階   69.86m2

主な外部仕上げ

屋根 既存いぶし本瓦漆喰補修
外壁 既存黒漆喰、モルタルのうえ弾性リシン
開口部 木製建具、アルミサッシュ

主な内部仕上げ

居間、ダイニング、キッチン
 床 チークフローリング
 壁・天井 漆喰塗り

工程

設計期間 2010年 8月~2010年10月
工事期間 2010年11月~2011年 3月

撮影

冨田英次(②③④⑤⑨⑩⑪⑫)、
上所啓二(表紙 ①⑥⑦⑧⑬)     

Before
2階平面
クリックで拡大
1階平面 縮尺1/300
クリックで拡大
After
2階平面
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配置図 縮尺1/200
クリックで拡大

進藤勝之

[大阪市中央区]

1969年広島県生まれ/1993年広島工業大学工学部建築学科卒業後、株式会社アイ・エフ建築設計研究所に勤務/1997年株式会社彦谷建築設計事務所入社/2007年Atelier SETTEN一級建築士事務所設立

佐紀町の家
 
佐紀町の家は大和西大寺の東側、生活の便利性をもちながら細い路地と古い街並みが残る素敵な場所にあります。計画は築約45年の母屋と築約20年の増築部分に、クライアントが新しく生活する為の場をつくることが目的です。
 母屋は大きな庭をもつ立派なお屋敷で、増築部分は後に部屋数を確保するために建築された何の変哲もない在来木造住宅でした。無造作に増築された部分と母屋との間は成り行きで出来た部屋で構成され、けっして使い勝手の良いものではなく、生活する上では欠点とみられていました。しかし、時の流れから見た時、この増築部も祖父の時代に次世代が住み継ぐ為に必要なものとして建築され、この場に住み継ぐ意思が表れたものなのではないでしょうか。私はその母屋と増築部がそっと手を繋いだような佇まいを残しつつ、違和感のない洗練されたものにしなければいけないだろうと思いました。
 内部については、成り行きでできた間取りという欠点を計画し直すことで、同じ場所が利点となるように考えました。欠点であった部分に生活の中心となるキッチンを設置し、そこを取り巻くように吹抜けをもつダイニング、リビング、小上がり、そして外部のデッキを配して、ぐるぐると回遊できるようなプランにすることで、生活の中心となる部分でいつも家族の気配が感じられ、環境とつながる、いろんな気持ちのいい場所を獲得することができたのではないかと思っています。
 今回のように「住み継ぐ」ということの中にはいろいろな想いがあります。私はその想いをかたちにする事で、世代を超えて愛着を生み、その愛着が「住み継がれる家の価値」へと変わっていくことを考えながらデザインするよう心がけています。

ASJ奈良スタジオ

[株式会社日本中央住販]

サブマネージャー:妹尾和代

 代々伝わる古い日本家屋をリフォームしたO様。
 実はASJの他にも様々な施工会社を見て回ったのだとか。その中でASJを選ばれたポイントは「建築家」。建築家というと新築のイメージがあるかもしれませんが、「リフォームだからこそ建築家に!」という想いがあったのだそうです。進藤先生は、リフォームは「欠点を利点にする作業」と語ります。
 お引渡しを迎えたO様にうかがうと、「満足度の高さは、まるでカウンセラーのように分析し、僕らが掲げる優先順位を客観的に判断してくださる建築家という存在があったからこそ。そして提案力ですね。他社さんでは私たちの言いなりになるという印象が多くあったのですが、ASJではきちんと提案もしてくれる。そういったところに安心感を覚えましたね。正直、価格の一番安い他社さんにも惹かれましたよ(笑)。だけどやっぱり安心して任せられるところじゃないと。それに完成したこの家を見ると、決して値段だけでは決められないと改めて思いました」。
 当初は建替えと言う選択肢もあったのだそうです。しかし、「想いのつまったこの家を伝承したい」と、住みにくいところをプラスに変えて暮らすという選択肢を選ばれました。
 「奈良にはうちみたいな古い民家が多いと思いますが、まずは住んでいるからこその欠点を見つけてください。欠点を理解してから計画すれば自ずと快適なリフォームにつながると思います」と、アドバイスをくださいました。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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