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ASJ Works Close-up

平屋の家を透過する光と風集う人の明るい声で満たされる

福岡県嘉穂郡

集いの家

設計 中村文典/n+ archistudio
施工 ASJ飯塚スタジオ[株式会社諌山組]

並んだ2 つの蔵を思わせるS邸外観。平屋造りは、妻Tさんの理想だったそう。

田園風景が広がる東方面から見たS邸。代掻き、田植え、実り、収穫…。水田の景色から四季の移り変わりを感じられることだろう。①

キッチン、リビング、子ども部屋から自由に出入りできるライトコート。ウッドデッキは水に強く、耐久性に優れたサイプレス( オーストラリア桧) が使用されている。②

 福岡県筑豊の炭鉱記録画がユネスコ世界記憶遺産に登録されたのは、記憶に新しいことだろう。いまも豊かな自然が残る筑豊の町に、その家はある。
 Sさんが家づくりを考え始めたのは約五年前。以来、広告チラシを熟読しては二〇軒以上の相談会を巡り、一度は某住宅メーカーで契約を交わしたこともあった。そんなSさん夫妻が昨年七月、「寄り道のつもり」でASJのイベントへ。そこで「出会いがあった」と笑う。
 「当時、良くも悪くも知識を入れすぎて、何が正しくて何が違うのかわからなくなっていた。あの日を機に『なぜ家を建てたいのか?』という原点に戻れたし、中立な立場のFP(ファイナンシャル・プランナー)に、資金計画を含め率直に相談できたことも決め手になりました」とSさん。建築家との二人三脚に加え、地場の工務店に建築を任せられるシステムも魅力だったという。
 設計を委任した建築家の中村文典さんにSさんが伝えた希望は、「平屋造り」「自然素材」「風通しの良さ」「機能性」「子ども部屋を孤立させない」――等。それを受け、中村さんは住宅メーカーが勧めていた四角型ではなく、より家の中に光と風が回るH型の設計を提案した。もともと廊下は無用と感じていたSさんは大いに納得し、最後までぶれることはなかったという。

ダイニングエリアからライトコートを見渡す。ふんだんに使われた無垢材が美しい。③

元気いっぱいの子ども達の遊び部屋。取材時、飯塚スタジオのヘルメットが大切な記念品のように飾られていた。④

 工事期間中は、雪の日も晴れの日も現地通いが日課だったというSさん。五〇〇枚もの写真を撮影し、中村さんに現場報告をするほど通いつめたそうだ。完成見学会には双方の親を招待し、妻の母親からは「うちと換えっこしようか」と喜ばれた。近所の小学校でも、子どもたちの噂の的になっているという。「『家づくりは三回目で満足する』なんて聞くけれど、結果としてどこも妥協しなかった。自分にはこれが最初で最高の家です」。
 先日、中村さんと一緒にダイニングチェアやソファを選びに行った夫妻は、家具が揃うのに合わせ、多くの友人たちを新居に呼ぶ予定だ。ホームパーティのプランは、光と風の溢れるライトコートでそうめん流しにバーベキュー。「皆と集って大いに楽しみたい。夢が広がります」。この家に集う人々の明るい声が響く、最高の夏になりそうだ。
(取材/坂口紀美子)

ASJ 飯塚スタジオが「見せ場」と胸を張るガルバリウム黒鋼板の外壁。家の周囲にはシロアリ防除工法「セントリコンシステム」が埋設され、家族の健康も環境も守りつつ、シロアリの侵入を見張ってくれている。⑤

平屋の家に、ロフトを発見。Sさんの大切な書斎スペースだ。⑥
白と木目を基調とした洗面エリア。 間接照明のやさしい光が心地よい。⑦
段差のないバリアフリーな和室。介護なども視野に入れ、可動間仕切と
することで、二部屋を繋げられるようになっている。近い将来、親と一
緒に暮らすための部屋だそう。⑧
建築家、中村さんと新居を見上げるSさん夫妻。「まだ押しピン一つも刺してない」と笑うSさんに、「家は住む人が育てるもの。付いたキズ一つ一つが味になって、ようやく〝完成〟するんです」と中村さん。⑨
降り注ぐ陽の光に誘われて、近所の友達と一緒にプール遊び。「家づくりが始まってから、子どもたちずっとテンションが高いんです」とSさん。⑩
開放感のある対面式キッチンから子どもたちを眺める妻Tさん。⑪
子ども部屋からライトコートを望む。どの部屋からもガラス窓を通じてお互いを感じられるのが、この家の特長だ。⑫
S邸夕景。余分なものをそぎ落とされた設計が美しい。⑬
ライトコートからキッチン、ダイニングを眺める。屋外でありながら、室内のような感覚になる。⑭

■集いの家

所在地

福岡県嘉穂郡

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+子供2人

設計

中村文典/n+ archistudio

施工

ASJ飯塚スタジオ[株式会社諫山組]
設備 有限会社千歳工業
電気 株式会社福田電気商会
屋根板金 髙尾板金工業所

構造・構法・規模

木造在来工法
地上1階 
軒高 3,355mm 最高の高さ 4,412mm
敷地面積 330.60m2
建築面積 127.52m2(建蔽率38.57% 許容40%)
延床面積 126.59m2(容積率38.29% 許容80%)

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼板t=0.4縦ハゼ葺き
外壁 ガルバリウム鋼板t=0.4縦ハゼ葺き
開口部 アルミサッシュ
外構 豆砂利洗い出し CON金ゴテ押さえ リュウノヒゲ密植
   ウッドデッキ(サイプレス) イロハモミジ

主な内部仕上げ

玄関・シューズルーム
 床 豆砂利洗い出し
 壁・天井 クロス貼り
LDK・その他
 床 クリ無垢フローリング 蜜蝋ワックス仕上げ
 壁 クロス貼り
 天井 クロス貼り 一部クリ無垢フローリング蜜蝋ワックス仕上げ

工程

設計期間 2010年 9月~2010年11月
工事期間 2011年 1月~2011年 5月

撮影

Techni Staff 岡本公二
   (表紙 ①②③④⑤⑥⑦⑧⑬⑭)
   坂口紀美子(⑨⑩⑪⑫)     

断面図
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LOFT
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1階平面 縮尺1/200
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中村文典

[福岡市南区]

1972年山口県生まれ/1993年京都科学技術専門学校建築デザイン学科卒業後、ゼネコン設計部に勤務/1996年株式会社AD建築設計事務所入社/2001年キュービックス一級建築士事務所入所/2010年n+ archistudio設立

集いの家
 
土地との出会いには「運」と「縁」が必要だと思っています。S様、スタジオ、建築家、三者で見に行った土地は数箇所。色んなお話をしながら、それぞれの土地にプレゼンテーションを行いました。そんな中で、スタジオよりお勧めしていた土地の話が再浮上してきました。一度外して考えていた土地も、タイミングや人との出会いで変わってくる、「運」と「縁」を感じた瞬間でもあった気がします。それが、東に一面の水田が広がる今回の土地でした。
 集いの家は、「友人が集い、楽しめる場所」をコンセプトに計画が進んで行きます。来客数の多さに対応するため、ご主人の希望であった平屋を元に、H型の平面プランをご提案しました。東西南北をプライベートとパブリックゾーンに分け、リビングを中心とした中間領域が集いの場所になるようにしています。また、道路側を板塀で閉鎖することで、視線を気にすることなくLDKを開放できるように、もう一方は、閉塞感を無くすため開放的につくり、光と風、田園風景への視線を通すよう計画しました。
 倉庫への隠し扉、ライトコートのイロハモミジなどで、遊び心や季節感を加え、余分なものは極力少なくしています。ガラス窓を通して、家族の気配と、重ねて行く時間を感じる事ができる、平屋ならではの伸びやかさを出せているのではないかと思います。
 何もない普通の日を、S様ご家族が仲良く生活されることを楽しみにしております。

ASJ飯塚スタジオ

[株式会社諌山組]

スタジオマネージャー:諌山新司
 S様がイベントにお見えになった時のお話では、しっかりと他社のプランをお持ちで、住宅展示場に行く途中に寄ったとのことでした。ひととおり建築家のブースを見てまわり、ファイナンシャルプランナーの光武さんの席に着かれた時から、この物語が意外な方向に展開していきます。
 光武さんとのご相談で出た答えは、「家を持つこと」をあきらめるとの結論でありました。そこで私たちは、一度S様の住宅に関する思いを空にし、家を持つことに対する考えを一緒にいちから見直すことに取り組みました。
 その結果出てきたのは、S様の「どうしても家族の為に家を持ちたい」という思いです。そこで、光武さん、建築家の中村先生、スタジオとで、どうすればS様のこの願いを叶えることが出来るかを試行錯誤し、導きだされたものが「集いの家」でありました。
 この「集いの家」はS様の強い思いと、それに応えていただきました光武さんと中村先生の見事なチームワークが、生み出した作品です。飯塚スタジオとしてこのプロジェクトに係わることが出来たのも何か不思議なご縁の様なものを感じております。
 最後に、施工にあたられた関係者の皆様に、紙面をおかりして、心よりお礼申しあげます。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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