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ASJ Works Close-up

屋外から屋内への連なりで風と緑を感じられる家

宮城県角田市

角田の家

設計 小野里信建築設計アトリエ
施工 ASJあぶくまスタジオ[株式会社上の組]

ギャラリーから続くエントランスは、洗練されたダークな磁器質タイルで装いながら、屋外から屋内への連なりを表現している。

ガルバリウム鋼板で覆われた落ち着いたダークブラックの外観は周りの風景とも調和している。広い縁側は、心地よいそよ風を感じながら自然を満喫できる開放的な空間が広がる。①

 のどかな田畑が広がり、隣接している家がない快適な敷地に建つ住宅。この家は、Kさんご夫妻と、ご家族が住む二世帯住宅である。
 玄関に入ると、タイル張りのギャラリーから、窓の奥に見える緑豊かな庭にゆっくりと引き込まれる。まるで屋内に居るのに、外にいるようなそんな気分になる。まさに自然と一体化した安らぎの住空間がそこにはあった。
 Kさんご夫妻が家を建てようと思ったのは二年前のこと。もともとあった実家の土地に、家を建て替えようと思ったのがきっかけだった。理想のイメージは、「自然素材にこだわった焼き杉の外観にしたい」「家の中にいても、外を感じられる空間をつくりたい」と想いを膨らませていた。
 「イメージを形にするには、建築家へ依頼したいと考えていましたが、敷居が高そうで少しためらっていました」とKさん。
 そんな時、ASJのチラシを見て、いくつかの住宅展示場を見て回った後に、あぶくまスタジオにも立ち寄ってみたという。「実際、スタッフの方と話をしてみると、何でも親身になって聞いてくださって話しやすかったんです。なにより人柄が良くてね」と当時を振り返る。

エントランスからリビングにある踏み板階段には、緑の風景を感じながら過ごせる大きな窓を通して、光と風がたっぷりと降り注いでいる。②
2 階に設けたプライベートルームは、ナチュラルカラーのフリーラックを設置。小物を整理したっぷり収納することが出来る。小窓からは風が抜け光が差し込む。③
統一感のあるスタイリッシュなエントランスとギャラリーは、庭のテラスにつながっている。屋内にいても屋外を感じることができる。④
和室側からダイニング、リビング方向を見る。テレビ台の裏手は、浴室が設置されている。床はカラマツ無垢床材で温かみのある自然素材を活かした居住空間が広がる。⑤
外から守られた庭には、部屋につながる縁側と広いテラス。家族のコミュニケーションが自然にとれる和みの場所である。⑥

 その場で入会したKさんご夫妻は、後日イベントに参加し、スタジオから数人の建築家を紹介してもらったが、予算に見合う理想の間取りを実現できそうな建築家に、その日はめぐり会うことができなかったそうだ。 翌日、住宅雑誌を見ていたKさんは小野里さんの作品に魅了され、理想の間取りと予算が決めてとなり設計をお願いすることに。早速、栃木県に事務所がある小野里さんに、設計をお願いできるかをスタジオに相談してみると、「全国規模のネットワークがあるので、ご依頼はもちろん可能ですよ」と快く返事をもらい、念願の建築家との家づくりが本格的にスタートすることになる。
 「栃木県に事務所を置かれている小野里さんと十分な打ち合わせを、どのようにされたのですか?」と質問すると、「毎月二回、詳しい説明や提案をいただき、少しずつ進めていきました。そのおかげで安心してすべてお任せすることができ、第一案からほとんど変
更もありませんでしたよ」とKさんご夫妻は満足そうに話す。
 ご主人のお気に入りの場所は、玄関に入ってギャラリーから見える庭だという。理由は、安らぎを感じる穏やかな空間だからだと語ってくれた。北欧のようなデザインキッチンは、調理士だった奥様が雑誌を見て小野里さんに要望したとのこと。こだわりのカラーを自分で選んでガラスに塗料を塗り実現した。「壁面は全て収納なので掃除も楽ですよ。キッチンに居ながら外を感じられますしね」と嬉しそうな奥様。
 キッチンから庭へつながる縁側には、広い窓が開放的な空間をつくりあげている。そこには、太陽の光と風を感じながら緑と寄り添える家族の集まる場所があり、これからも、絆を育む理想の時間を刻んでいくことだろう。

(取材/高橋恵子)

キッチンとダイニングの横には祖母の希望でもあるオープンな和室を設置。足をのばしてくつろげる空間で、落ち着いた時間をゆったり過ごす。⑦

北欧デザインを好む奥様が、キッチンユニットに選んだ鮮やかな彩りは、生活の中心を過ごす場所に温かさとやすらぎを注いでいる。⑧

緑の景色が見える窓際は、のれんと調和した自然と寄り添う小さな空間。「スポットライトは小野里さんからのプレゼントなんですよ」と嬉しそうにKさんご夫妻が話してくれた。⑨
木材を塗装した重みのあるこだわりのガレージには、お気に入りの車を収納。雨の日のお出かけも快適に出発することができる。⑩
1 階トイレ横にある洗面室。小窓を設置し風が通り抜けるように設計。⑪
北欧のようなデザインキッチンは、壁面収納が充実しており、大きな明るい窓からはたくさんの光が差し込む。自然と夫婦の会話も弾む。⑫
庭を取り囲んだプライベートな空間は、外部の視線を気にすることなく、どこにいても楽しく会話ができる。⑬

■角田の家

所在地

宮城県角田市

主要用途

専用住宅

家族構成

祖母+母+夫婦+子供2人

設計

設計者 小野里信建築設計アトリエ
 担当 小野里信 伊藤康裕(協力)
構造  平岡建築構造研究所
 担当 平岡伸逸

施工

担当 ASJあぶくまスタジオ[株式会社上の組]
造園 有限会社菊地造園

構造・構法・規模

木造
地上2階 
軒高 5,900mm 最高の高さ 6,690mm
敷地面積 481.48m2
建築面積 137.52m2(建蔽率28.56% 許容60%)
延床面積 191.82m2(容積率39.84% 許容200%)
 1階 131.87m2
 2階  59.95m2

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼板 立ハゼ葺き
外壁 ガルバリウム鋼板 
   横平葺き+ガルバリウム鋼板角波+杉板貼り
開口部 アルミ樹脂複合サッシュ 木製建具

主な内部仕上げ

LDK
 床 カラマツ無垢床材
 壁 珪藻土クロス貼り
 天井 シナ合板 ウレタン塗装
和室
 床 畳敷
 壁 大因州和紙貼り
 天井 シナ合板 ウレタン塗装
エントランス ギャラリー
 床 磁器質タイル貼り
 壁 珪藻土クロス貼り
 天井 シナ合板 ウレタン塗装
ベッドルーム1
 床 畳敷
 壁 珪藻土クロス貼り
 天井 シナ合板 ウレタン塗装
マスターベッドルーム 
 床 ナラ無垢床材貼り
 壁 珪藻土クロス貼り
 天井 シナ合板 ウレタン塗装

工程

設計期間 2009年9月~2010年3月
工事期間 2010年5月~2010年12月

撮影

中吉満(①②③④⑤⑦⑧⑩⑪⑬)
   高橋恵子(⑥⑨⑫)

断面図
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2階平面
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1階平面 縮尺1/300
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配置図
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小野里信

[栃木県宇都宮市]

1967 年群馬県生まれ/ 1992 年宇都宮大学大学院工学研究科修士課程修了/ 2001 年小野里信建築
設計アトリエ設立

角田の家
 
 住宅を設計するときの考えのひとつに「連なり」がある。アプローチからエントランスを抜け居
室へ入っていく。そして建物の向こう側にある庭へとつながっていく。この入り方に連なりをつく
ることが多い。ストリートを建物へ引き込むという感覚に近い。
 外から中へ、中からまた外へ……という展開をこれまで多く手掛けてきた。その手法は、床、壁、
天井仕上げの連続やガラススクリーン、天井高さの変化により、居室とは異なる独特のスペースを
創り出す。人を誘い、建物の向こうに見える風景へと進んでいく楽しさを与えてくれる。
 角田の家は、連なりをタイル張りのギャラリーで表現した。そのテクスチャーは導入のアプロー
チからはじまり、エントランス、内のギャラリーから外のテラスへと展開していく。建具により夏
と冬の季節に空間を分けることができるが、基本的にはひと連なりである。そのギャラリーは誘う
ストリートであると同時に、居室と居室の結節点であり、また空間を切り替える場でもある。家族
が集うリビングから個の場所(ベッドルーム)へ移るときに、ギャラリーを通り「離れ」へ行くよ
うな移り変わりである。
 二世帯住まいのこの住宅では、その考えを自然と形にすることができた。
また、北欧デザインを好まれるオーナーが、造作したキッチンユニットにこだわりのカラーを吹き
込み、空間に彩を加えている。料理にたずさわるオーナーのちょっとした心遣いにも思える。ガレー
ジには気に入って乗られている車が納められ、求めていた生活風景を実現することができた。
 細やかなアイデアにも配慮、施工してくれたあぶくまスタジオのみなさんに感謝するとともに、
これからこの生活風景が変化し、より一層の彩が加わっていくことを期待したい。

ASJ あぶくまスタジオ

[株式会社上の組]

スタジオマネージャー:吉田幸三
 3 年前、建築家との家づくりに決めているという若いご夫妻が、「未来をのぞく住宅展」へ来場されました。家づくりへのしっかりとした考えを持っている実直なお二人だな、というのが、私の第一印象でした。
 その後、入会、イベント、セミナーや完成見学会への参加等を経て、小野里先生とすすめることとなり、2010 年末に無事完成、引き渡しすることができました。
 小野里先生とは私共も初めてでしたので、どんなプレゼンテーションをされるか興味津々でした。打合せが進むにつれて、プランもさることながら、過大設計かなと思うくらい慎重な周辺環境への配慮、構造(特に基礎・本体)への考え方に感服することが多々ありました。
 今般3 月11 日の東日本大震災があり各所で人命、建物、施設等に多大な被害を及ぼしたことは皆様ご存じだと思います。幸いK 様邸は震災の影響もほとんどなく、お客様共々、小野里先生のプロジェクトで良かったと実感しました。改めて感謝しております。
 K 様ご夫妻へ。家は今後の生活環境スタイルの変化で進化するものと考えております。末永くお手伝いさせて頂きたいと思いますので、今後とも宜しくお願い致します。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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