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ASJ Works Close-up

暮らしに合わせて変化する壁紙が印象的な家

鹿児島県鹿児島市

真砂本町の家

設計 野邊伸一・岩脇雅彦/クラフト建築設計事務所
施工 ASJ鹿児島スタジオ[阿久根建設株式会社]

住宅密集地のため敷地いっぱいに建物を建てながら前面に広い駐車スペースを確保。外観はいたってシンプル。①

家の中心にあるのは2 階への階段スペース。限られた空間の中で効果的な採光ができるよう工夫されている。②

以前はマンションの四階に住んでいたというNさん夫妻。小さな子ども二人を育てる中で、何かと不便を感じるようになっていった。とりわけ奥さまは「駐車場までが遠くて、買い物の荷物を抱え、赤ちゃん連れで行き来するのは本当に大変だった」とか。そこで戸建住宅を建てたいと考え、土地探しを開始。不動産業者を通じて知ったのがASJだった。
 奥さまは「インテリア好きの友達に影響されているだけ」とおっしゃるが、センス良くまとめられた室内を見る限り、かなりのこだわりをお持ちのよう。家を建てるにあたっても、「自分の希望通りにしたかったから、最初からハウスメーカーは選択肢になかった」そうだ。そんなNさん夫妻に建築家と家をつくるASJの仕組みはぴったりだったのだろう。
初めて参加したイベントで設計を担当する野邊伸一さんと出会い、すぐにプランニングへと話が進んでいく。
 鹿児島県庁にもほど近い住宅地に建つNさん宅は、細い路地に面した裏通りにある。周囲には家々が建て込み、敷地もそれほど広くはない。そこへ「四台分の駐車スペース」「三階建て」といった要望がNさん側から出されたが、制約条件を整理していくうちに駐車場は前面三台分に、鉄骨造は木造二階建てへと変わっていった。プランも数回にわたって練り直し、かなり変遷があったが、最終的にはNさんも「いろいろな意味で納得できるプランになった」そうだ。

白い壁と落ち着いた色調のフローリングに奥様手づくりの小物が映えるダイニングキッチン。③
ダイニングキッチンと続くリビングは、お客様をお迎えするとともに一家の憩いの場でもある。④
コンパクトにまとまったキッチンは使い勝手もいい。⑤
2 階廊下の一面に張られたモダンな壁紙。1階と2 階では大きく印象が違うのも面白い。右手下の床に設けられたグレーチングは1階への採光のため。⑥
2 階中央に設けられたテラスはトップライトとともに採光の役割を果たす。屋外の風を感じられる貴重な空間でもある。⑦
現在はほとんど空間を仕切らず使っている2 階。トップライトからの光でとても明るい。⑧
部屋の用途を限定せず、自由な発想で利用しているのも印象的。ここは子どもの遊び場を兼ねた作業スペース。⑨

 野邊さんが最も気を使ったのが採光。住宅が密集して建ち、前面に駐車スペースもあるため、通りに面して大きな開口部を設けにくい。そこで二階へとつながる階段部分を家の中心に設け、吹き抜けから光が家全体に回るように工夫した。また部屋の用途をあまり限定せず、間仕切りもできるだけ設けないようにしている。そのため家のどこにいても人の気配が感じられ、それが温かみのある雰囲気につながっている。
 さらに、この家でいちばん印象的なのが壁紙。一・二階のそれぞれ一部に使われているが、この〝一部だけ〞というのが非常に効果的だ。子どもの遊び場兼作業スペースには、周囲の白い壁に映える赤い花模様の壁紙。また二階の一角にはモノトーンの壁紙が一面に
貼られている。白一色では単調になりがちな室内も、ほどよく変化のある壁紙でとてもおしゃれな印象を与える。壁紙はすべて奥さまのチョイスで、実際に何種類ものサンプルを壁に当ててみて選んだそうだ。
 リビングのS字型の棚、キッチン前のカウンターの高さなど、家のあちこちに奥さまのこだわりが表れている。そこに奥さま手作りのインテリア小物が加わり、この家は時間とともに使い込まれ、変化していく。野邊さんも「来るたびに少しずつ変化があって、設計した僕自身も見に来るのが楽しい家」と語る。
 今、一家の寝室になっている部屋は、いずれ大きくなった子どもたちの部屋として使われる予定だ。その頃には、この家はどんな変化をとげているだろうか。楽しみである。

(取材/湯浅玲子)

白い部屋のごく一部に張られた赤い花の壁紙。「普段の自分では選ばないようなものを選んだ」と壁紙をチョイスした奥様。⑩

収納については事前に持ち物をリストアップし、それに基づいて野邊さんが設計した。⑪
透過性のある素材を多用することで、採光を確保すると同時に空間の広さも感じられる。⑫
笑顔の絶えないN さん一家。ASJ に設計を依頼した当時は赤ちゃんだった子どもたちも、すっかり大きくなった。⑬
車が主な移動手段である鹿児島では、家族だけでなく来客用の駐車スペースも欠かせない。⑭

■真砂本町の家

所在地

鹿児島県鹿児島市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+子供2人

設計

岩脇雅彦、野邊伸一/クラフト建築設計事務所
 担当 野邊伸一
設備 建築設備設計 O-Planning
 担当 大石秀樹
電気 設備研究室SPEC
 担当 平江傑

施工

ASJ鹿児島スタジオ[阿久根建設株式会社]
 担当 迫田孝幸
設備 ダイヤテック株式会社
 担当 柴田進一郎
電気 株式会社デンセツ工業
 担当 山口猛

構造・構法・規模

木造在来工法
地上2階 
軒高 6.542mm 最高の高さ 7,450mm
敷地面積 124.82m2
建築面積  61.09m2(建蔽率46.66% 許容65.73%)
延床面積 116.89m2(容積率93.64% 許容171.46%)
 1階 59.11m2
 2階 57.78m2

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼鈑立ハゼ葺き
外壁 ガルバリウム鋼鈑(2F型目地有り働き幅116mm)張り 
   塗り壁STO材フラット仕上げ
開口部 アルミサッシュ
外構 コンクリ-ト金コテ押え(一部刷毛引き仕上げ)
   グリ石敷込み

主な内部仕上げ

LDK・予備室・玄関ホ-ル
 床 t18.0無垢フローリング(ミモザラスティックブラウン 塗装品)
 壁・天井 クロス貼り
子供室・寝室・階段ホ-ル
 床 t15.0無垢フローリング(カバザクラ 蜜蝋ワックス仕上げ)
 壁・天井 クロス貼り

工程

設計期間 2009年6月~2009年11月
工事期間 2010年1月~2010年 5月

撮影

INFORMERCIAL 三好芳昭(表紙 ①②⑤⑦⑧⑩⑫)
高橋哲也(③④⑥⑨⑪⑬⑭)

断面図
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RF平面
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2階平面
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1階平面 縮尺1/200
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模型写真
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野邊伸一

[鹿児島県鹿児島市]

1969 年宮崎県生まれ/ 1991 年鹿児島大学工学部建築学科卒業後、
株式会社山田守建築事務所に勤務/ 1993 年株式会社創建築計画研
究所入社/ 1997 年みのだ設計入社/ 2002 年有限会社クラフト建
築設計事務所共同主宰

 
 

岩脇雅彦

1960 年鹿児島県生まれ/ 1982 年日本大学工学部建築学科卒業後、
富樫良宣建築設計事務所 に勤務/ 1989 年株式会社東条設計入社
/ 1990 年株式会社池下設計入社/ 1993 年株式会社創建築計画研
究所入社/ 1999 年みのだ設計入社/ 2002 年有限会社クラフト建
築設計事務所 共同主宰
 
真砂本町の家
 
 敷地は4 m道路をはさみ3 階建ての住宅やマンションが建ち並ぶ、比較的密集した、昔なが
らの住宅地に位置します。
 道路に面して駐車スペース(2 台+来客用)を確保し、残りのスペースに四角い総2 階の建物
を配置するシンプルな構成となっています。隣地側は三面とも建物が境界まで接近しているため
採光があまり期待できない状況にあり、プライバシーを確保しつつ光をどのように導くのかが今
回のテーマとなりました。
 総2 階のボリュームのなかで、1階にLDK と予備室(来客用スペース)、2 階にプライバシー
の比較的高い子供室、寝室、浴室、物干しテラスを配置しています。建物の中心に設けられた階
段は、テラスとトップライトの光を1階まで導く光の井戸となるようなイメージです。
 広幅の引き戸(壁のような扉)を開け放ち、各室が連続していく奥行きのあるワンルーム空間
を提案しています。階段や引き戸の壁により空間が緩やかに区切られ、家の中にいろんな居場所
ができるよう意図しています。子供達の成長とともに家族の距離感も変化していくなかで、見え
ないけれど声はとどくような、「近づきすぎず遠すぎず」の状態がつくりだせれば良いなと考え
ています。
 引き渡しから一年ほどたち、点検や一年検査等何度かお伺いすることがありましたが、飾られ
ている絵や小物がセンスよく空間にアクセントをあたえています。お伺いするたびに少しずつ変
わっていくようです。この家での生活を楽しんで大切に使われているな、と感じられるうれしい
瞬間です。
 ご家族とともにこの家が、すてきな年月を重ねていってほしいと感じます。
(野邊伸一)

ASJ 鹿児島スタジオ

[阿久根建設株式会社]

クライアントパートナー:久留今日子
 赤ちゃんを2 人連れて住宅展へご来場下さったN 様。会場では奥さまはキッズコーナーで子
供達と遊び、「家族のこだわりを実現させたい!」と、じっくり建築家の話に耳を傾けていらっ
しゃったのはご主人でした。
 ご要望を伺い、プランをご提案させていただくと奥さまの本腰具合が一転。ご夫妻の生活スタ
イル、お子様達の成長にともない変化する家族の関係、そして変えることが難しい近隣環境。じっ
くりと、本当にじっくりと図面をご覧になり、野邊さんからの的確なアドバイスにご納得いただ
きながら、N 様邸の家づくりチームが形成されていきました。
 山あり谷あり回り道ありの時間をご家族と共に過ごし、待ちに待った完成の頃には「赤ちゃん」
だった二人も「幼児」に。お引渡し後のお見送りは、二人仲良く並んで階段に座るかわいい「バ
イバイ」でした。
 これからも住まいの変化とお子様の成長を見守らせていただける事に改めて感謝申し上げま
す。有難うございました。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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