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ASJ Works Close-up

周囲の景色も取り込むシンプルでモダンな住空間

埼玉県さいたま市

大宮の家

設計 藤田征樹建築設計事務所
施工 ASJ彩の国スタジオ[株式会社埼玉丸山工務所]

2 階子世帯のリビング。

旗竿地の敷地。細長いアプローチの先にモダンにデザインされたKO邸がある。①

子世帯のキッチンからワークスペースを見る。雑多になりやすいワークスペースは、リビングから見えないように配置。②

子世帯のアイランドキッチンは、小柄な奥様が使いやすいようにとオーダーメード。奥様はこの場所が一番お気に入りだとか。③

生活スタイルが異なる二世帯がバランスよく暮らせる家に

細長いアプローチを進むと、ダイナミックな大屋根が印象的なモダンな住宅が出迎える。この家は、Oさんご夫妻と奥様のご両親が暮らす二世帯住宅だ。玄関に一歩足を踏み入れれば、外観同様にモダンな空間が広がる。
 一階は建て替え前の庭を極力残し、空間全体はシックにまとめた親世帯のスペース。テイストも間取りも以前の家とは異なるにも関わらず、最初から体がなじんで違和感がなかったと話すお母様。
 そして、子世帯が暮らす二階は、LDKの南北がすべてガラス張りという、驚きのプラ。当初は南側のみを大きく開けたいと考えていたOさんに、設計を担当した建築家・藤田征樹さんは、裏の公園の桜や緑が楽しめるからと、北側も大きく開けるプランを提案したそう。普段はロールスクリーンを下ろして過ごすことが多いそうだが、友人が訪れたときは全開にして、この開放感を味わってもらうとか。さらに、シンプルでモダンな空間に、ひと際存在感を放つステンレス製のアイランドキッチンは、小柄な奥様の使い勝手を考慮してオーダーメードに。キッチンの隣にはパントリーも設置され、雑多になりがちなキッチンまわりもすっきりしている。
 「木の香りがするような和風の家ではなく、スタイリッシュでモダンな家にしようと思っていました。それは母も同じで、僕たちの要望を細かく突き詰めていくと、理想を叶えてくれるのはハウスメーカーではなく、建築家だと思ったんです」とOさん。
 今年一月に引っ越しし、新居で生活するようになって、建築家ならではの細かい配慮に感心するという。例えば、寝室とシャワーブース、クローゼットを近くにまとめたことで、スムーズな動線が確保されたこと。Oさんは、動線ひとつでこれほど気持ちよさが変わるとは思ってもいなかったと話す。そして、楽器を奏でるOさんのために設置されたシアター設備完備の防音室では、日々の練習はもちろん、週末はご夫婦そろって映画を楽しむなど、ライフスタイルはさらに充実しているそうだ。

北側も大きな開口部を設けたKO 邸。子世帯のキッチンからも公園の緑が楽しめる。④
2 階の階段ホール。全面ガラス張りで裏の公園の緑が見渡せる。⑤
バルコニーの先には、シャワーブースのあるサニタリールームが配置されている。⑥

家族の気配がリビングを中心に伝わる。以前の家とは異なるモダンな生活を楽しむ親世帯。⑦

リビングと20㎝の段差がある和室。「腰掛けるにもちょうどよい高さ」とお母様。⑧
西日を遮りつつ、採光が確保された親世帯のダイニングキッチン。⑨

たくさんの建築家と会って家づくりの考え方を確認

多くの建築家の中から、藤田さんに設計を依頼したOさん。理想の家に近いモダンな家を多く手掛け、何より、家づくりの考え方そのものに共感したからと話す。
 「僕たちにとって、建築家はまだまだ敷居が高い。そんな中でASJの建築家展に参加し、たくさんの建築家と話ができたのは大きかった。藤田さんは僕達の意見を聞いた上
で、〝いい家をつくりましょう〞と言ってくれました」。
 しかし、当時、Oさんたちは神奈川県に在住。この場所(埼玉県)に暮らすご両親とは休日も合わず、打ち合わせのほとんどは別々に行われたそうだ。それでも、両世帯がバランスよく、満足できる家に仕上がったのは、藤田さんの細かな気配りと経験によるものが多いと奥様は言う。
 それぞれ独立した世帯として暮らしてはいるものの、時には一緒に食卓を囲むこともあるというOさんとご両親。生活時間もスタイルも異なる二つの世帯が、ひとつの家で気持ちよく仲良く暮らすためには、お互いに依存しすぎず、この家のように程よい距離感を持つことも必要なのかもしれない。

(取材/林ちえみ)
2 階へと続く階段。天井から光のシャワーのように、明るい日差しが燦燦と降り注ぐ。⑩
お母様の愛情を受けて、すくすく育った観葉植物がたくさん置かれた親世帯のリビング。子世帯で枯れそうになった植物もここに置くと元気になるそう。⑪
1階の親世帯の浴室はゆったりサイズ。白を基調とした洗面所は明るく、収納力も抜群。⑫
子世帯はあえてシャワーのみに。その代わり1階の浴室は広々と設置。⑬
前の家にあった植栽をほぼ残す形で計画されたKO邸。お母様が丹精込めて作った野菜が豊富に実る。⑭
休日はご夫婦そろって映画を見たり、ご主人の趣味のオーボエを演奏したりと、大活躍のシアタールーム。⑮
防音対策もばっちりのシアタールーム。窓のトビラを開ければ、ここからも裏の緑を眺められる。⑯
北側の公園から見たKO邸。大胆にデザインされた大屋根が印象的。⑰

■大宮の家

所在地

埼玉県さいたま市

主要用途

一戸建ての住宅(二世帯住宅)

家族構成

父母娘+娘夫婦

設計

設計者 藤田征樹建築設計事務所
 担当 藤田征樹 永久保泰
構造  坂田建築士事務所
 担当 坂田興平

施工

ASJ彩の国スタジオ[株式会社埼玉丸山工務所]

構造・構法・規模

木造在来工法
地上 2階
軒高 6,210mm 最高の高さ 6,800mm
敷地面積 220.69m2
建築面積 116.53m2(建蔽率52.81% 許容60%)
延床面積 182.59m2(容積率82.74% 許容160%)
 1階   95.62m2
 2階   86.97m2

主な外部仕上げ

屋根 シート防水
外壁 ケイ酸カルシウム板t12、
   ジョイントV・GG工法のうえ 撥水剤塗布
開口部 アルミサッシ、スチールサッシ、ガラススクリーン
外構 コンクリート刷毛引き、白砂利敷き

主な内部仕上げ

1階LDK
 床:イペフローリング貼り
 壁・天井:クロス貼り
1階個室
 床:ブラックウオールナットフローリング貼り
 壁・天井:クロス貼り
2階LDK
 床:磁器タイル貼り
 壁・天井:クロス貼り
2階個室
 床:塩ビタイル貼り
 壁・天井:クロス貼り

工程

設計期間 2009年 7月~2010年 4月
工事期間 2010年 5月~2010年12月

撮影

鳥村鋼一(①⑥⑦⑬⑭⑰)
石河正武(表紙 ②③④⑤⑧⑨⑩⑪⑫⑮⑯)

南北断面図
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2階平面
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1階平面 縮尺1/200
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藤田征樹

[東京都新宿区]

1967年富山県生まれ/1991年新潟大学工学部建築学科卒業後、菊竹清訓建築設計事務所 に勤務/1999年藤田征樹建築設計事務所設立

大宮の家
 
 JR大宮駅からバスで7分ほどの住宅地にある、既存の親世帯の住まいの二世帯住宅(1階が親世帯、2階が子世帯)への建て替えです。敷地は旗竿敷地で、1階部分が既存の南庭、2階は南側が大きく道路に開き、北側が公園の桜並木を望む環境にあります。
 この特徴を出来るだけ住まいに活かしたいと考え、1階は既存の庭との連続感を、2階は南北を大きな開口とすることで周辺の環境を取り込みたいと考えました。
 敷地形状に合わせて2階分の個室を周辺配置し、これらを2階床と大屋根によって架け渡す構成を取ることで建物中央部分を無柱空間とし、1、2階とも大きく外に開いた光と風にあふれるリビング空間とすることができました。この構成がそのまま外観の特徴となっています。
 上下階はそれぞれの世帯と別々に打ち合わせを重ね、それぞれの個性を反映したインテリアとなっています。生活パターンも全く異なるのですが、玄関と階段の吹き抜けを共用空間とし、顔は合わせなくても気配は十分感じ取ることができるようにすることで、同じ屋根の下に住む感覚を保持できるようにしました。
 外壁については、マッシブな中に空間が抜けたようにしたいと思いましたので、特殊なモルタルの素地を活かした仕上げとし、素材感と少し重厚感を出すようにしました。比較的住宅が密集していない環境ですので、四方から見て耐えうる外観とするということも併せて考慮しました。
 一般的に見れば特殊なことや技術的に難しいことをいくつも取り入れている住宅です。彩の国スタジオを始め施工していただいた皆様には大変ご苦労をお掛けしました。
 また、1年近い設計期間と半年間の工事期間中継続して打ち合わせをしてきたことがしっかりと反映された住まいです。両家の皆様には長きにわたり心地よく住んでいただければと祈念しております。

ASJ彩の国スタジオ

[株式会社埼玉丸山工務所]

クライアントパートナー:石澤伸介
 上下二世帯住宅のKO邸。2階(子世帯)のO様ご夫婦はとても忙しい方達でしたが、住まいのイメージがとても藤田先生の作風と合っていたようです。公園を望む開放的な大きな窓(これは、工事の鈴木と林が大変苦労して搬入しました)や、防音室についても、下階に対する配慮も含め先生と綿密な打合せを行い完成しました。
 1階に暮らす親世帯のK様ご家族は、とても明るくさわやかな印象の方達です。印象に残るのは何と言っても上棟式でのK様ご主人の民謡です。とても上手でお酒も進みました。お庭で家庭菜園をされるK様世帯は、1階の掃き出し窓をL字型に開放し、デッキと床、更にはお庭へと自然に足が向くように設計されています。
 この建築作品の良い点は、何といっても、二世帯の意向が先生の作風と重なり、とても明るく開放的な住まいになっている所です。このような作品に出合えたことをK様のご家族・O様ご夫婦を始め先生、職方、スタジオのスタッフ一同、改めて感謝を申し上げます。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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