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ASJ Works Close-up

絵画を楽しむように暮らす絵になる住まい

大阪府岸和田市

月桂の家

設計 吉川弥志設計工房
施工 ASJ岸和田スタジオ[株式会社中商]

多彩な植栽が四季折々の表情で出迎えてくれる。

「ほどよい落ち着きに満足」とKさんがおっしゃる外壁の色は長寿を願う千歳茶。①

「布団を干して振り返ったときも、まな板から目を上げたときも、いつもそこにあるのは、絵のような景色です」。
 Kさんの奥様から笑顔がこぼれる。こうした感想は、あらかじめ想像していた。というのは、設計を担当したのが吉川弥志さんだから。古くから文化人に愛された京都の料理旅館が、祇園に開いたカフェ&ギャラリーは、吉川さんが手がけた上質の空間が評判だ。
 大阪府岸和田市のなかでも、自然が上手に残されている閑静な住宅街。Kさんがその一画を購入されたのは、隣接する公園の桜の花に魅了されてのこと。ただし当初は、事業の後継者となった長男夫婦に譲るつもりだった。その一方で、いつかは自分たちの住まいも建て替えたいと、住宅メーカーの展示場などを見学。二〇一〇年一月には、ASJ岸和田スタジオで当会に入会された。実は、Kさんは、それまでに三軒の家づくりを経験されていた。
 「一軒目と二軒目は建て売りでした。三軒目は売り建てで、間取りの自由は効きましたが、選べる建材などが限られていて。結局、型どおりになってしまいました。四軒目こそ
は理想をかなえたいと」。

圧巻の広さと開放的な間取りが理想のリゾート空間を創出。③

1 階のデッキテラスはお花見やバーベキューなどKさん一家のイベント会場に。②
長男のお嫁さんやお孫さんとともにくつろぐKさんご夫婦。④
他の家具との統一感がとれたシステムキッチンはKさん夫婦がようやく探し当てた逸品。⑤

 そんな夢がにわかに形になりはじめたのは、Kさんが大病を患ったあと。プライベートの時間を充実させたいという思いが強くなったという。そこで、桜の樹のそばで新築することに。翌年、縁起がよいとされる節分の日に地鎮祭を決行し、岸和田スタジオが推薦する吉川さんに設計を依頼した。
 「出来上がった状態を見て判断する建て売りとは異なり、注文建築は壁紙一枚でも想像力を働かせ、選ばなければなりません。それは楽しい反面、不安でもあります。建築家の方には、そこをしっかりとサポートしてほしいと思いました。その点、吉川さんは期待以上でした。また、岸和田スタジオのディレクションもよくてね」。
 Kさん夫婦が家づくりのテーマにあげたのは「和モダン」。それは二人でよく利用するリゾートホテルの雰囲気を日常でも味わいたいと思ったから。
 「でも、私たちのイメージだけで進めていたら、民芸茶屋になっているところでした」。
 Kさんの奥様がおおらかに笑う。当初、二人は廊下の梁や床の色をダークブラウンにと決めていた。しかし、吉川さんの提案は白木。
 「岸和田スタジオの方も自信を持って白木を推されました。そこで任せたところ、これが正解」。
 もちろん、スタジオは、Kさんの要望も吉川さんにきちんと伝えている。訪ねてくる幼い孫のために二階の手すりは隙間が狭くされたり、柔道選手として輝かしい成績を残した
三人のご子息たちのコーナーがつくられたり…。「私の両親が続けてきたように、正月は和室で息子たち家族と祝いたい」という声を聞いて工期も調整した。 
 リビングに広く取った窓からは、仲秋の名月を一幅の屏風絵のように眺めることができる。そして、四季折々の風景を楽しむKさん一家の姿も、また、絵になるにちがいない。
(取材/香川泰子)

天井に葦が張られた和室ではお正月に初釜が催されたという。⑥

「明るく」というKさんの要望を反映し吹き抜けと
簀の子を渡した廊下。⑦
2 階には学生チャンピオンなどご子息たちの輝かし
い記録や勇姿を飾るコーナーも。⑧
中庭は京町家のように景色をつくり風を呼ぶ。⑨
高さを十二分にとった開放的な玄関にはKさんが好きな織田信長の肖像画が。⑩
段差のある外庭が散策の楽しみを広げる。⑪
扉を開ければそこはリゾート空間。⑫

■月桂の家

所在地

大阪府岸和田市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦

設計

小川一/小川建築工房

施工

担当:岸和田スタジオ[株式会社中商]

構造・構法・規模

木造在来工法
地上2階 
軒高 6,092mm 最高の高さ 7,705mm
敷地面積 494.02m2
建築面積 193.08m2(建蔽率39.08% 許容50%)
延床面積 241.47m2(容積率48.88% 許容100%)
 1階  148.34m2
 2階   93.13m2

主な外部仕上げ

屋根   カラーベスト葺き
外壁下部 ラスモルタルt16以上スチロール掻き落し
     水性ナノコンポジットW塗装
外壁上部 カラーガルバリウム鋼板t0.4縦ハゼ葺き
開口部  アルミサッシュ
外構   錆砂利洗い出し

主な内部仕上げ

玄関
 床  錆砂利洗い出し
 壁  PBt12.5の上、クロス貼り
 天井 PBt9.5の上、クロス貼り
主寝室、厨房、食堂、居間,ウォークインクローゼット、洗
面室、パントリー、便所
 床  無垢複層フローリング張り アッシュt14
 壁  PBt12.5の上、クロス貼り
 天井 PBt9.5の上、クロス貼り
畳間1
 床  目積畳
 壁  京壁塗
 天井 山ヨシベニヤ貼り
客間1、客間2、階段ホール
 床  無垢複層フローリング張 オークt14
 壁  PBt12.5の上、クロス貼り
 天井 PBt9.5の上、クロス貼り
畳間2
 床  畳
 壁  PBt12.5の上、クロス貼り
 天井 PBt9.5の上、クロス貼り

工程

設計期間 2010年5月~2011年 6月
工事期間 2011年6月~2011年12月

撮影

冨田英次(表紙 ①③⑥⑦⑪⑫)
水野真澄(②④⑤⑧⑨⑩)

A-A'断面図
クリックで拡大
B-B'断面図
クリックで拡大
2階平面
クリックで拡大
1階平面 縮尺1/200
クリックで拡大

吉川弥志

[京都市下京区]

1967年大阪府生まれ/乃普創..設計工房を経て、1999年吉川弥志設計工房設立

月桂の家
 
 大阪府南部の岸和田市、周辺環境に恵まれた閑静な住宅地内のゆったりとした敷地に建つ住まい。建物は千歳茶の外壁に、いぶし銀色のガルバリウム鋼板を組み合わせた表情が、街に落ち着きを与えています。
 四季折々の木々を配置したアプローチを抜け、内部へ入ると 道路側から見る閉鎖的な表情とは変わり、吹き抜け越しに入るハイサイドライトからの光が、家族や訪れる人々を柔らかな光で迎えてくれます。
 玄関や廊下から見える2階屋根の骨組みは、空間に立体感を与え、その通路に設けられた床のスノコから漏れる光が優しい空気感で包んでくれます。
 居間にはK様からの要望であった大きなテラスを設け、庭の植栽越しに借景をとり込んでいます。秋には東南のテラスから見える、中秋の名月を楽しめることだと思います。
 居間に接する中庭は和室や寝室とも繋がり、風が吹き抜けると共にそれぞれの部屋から異なる表情を見せてくれます。
 この住まいのタイトル“月桂”は、テラスから見える月になぞらえて中国古事より引用しました。ご家族がいつまでも栄えて頂きたいとの願いを込め“月桂の家”と名付けさせていただきました。

ASJ岸和田スタジオ

[株式会社中商]

クライアントパートナー:早川聡
 K様ご夫婦との出会いは、「未来をのぞく住宅展」に来場頂いたのが始まりです。ASJのシステムのご説明をし、アカデミーにご入会頂いた後、5カ月くらい経ってプランニングコースをスタートしました。
 まずはK様の希望されるイメージなどをお聞きし、持っておられる雰囲気などを考えて、建築家を選ぶことに。岸和田スタジオでは、それまで3件吉川弥志先生に設計をお願いしていた実績から、K様の希望と吉川先生の個性がうまく合うのではと思い、吉川先生をご紹介。設計を依頼することとなりました。
 当初のご夫婦の考えは二世帯住宅から始まりましたが、時間をかけた打ち合わせで徐々に現在の案に固まって来ました。工期の事もあり吉川先生には図面作成で無理をお願いしましたが、快く引き受けて頂き、見事吉川ワールドを創りあげて頂きました。
 工事中の、K様、吉川先生、エンジニアの原内との打ち合わせも、お互いよいものを作ろうと意見を出しあったことが、いい結果を生み出す要因になったのではないでしょうか。
 お引き渡しの時に頂いたK様ご夫婦の笑顔が、岸和田スタジオの財産になっていきます。いいご縁を頂いたことに感謝し、長いお付き合いを続けていきたいと思います。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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