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ASJ Works Close-up

シンプルな外観からは想像できない開放感と遊び心に満ちた家

茨城県つくばみらい市

SQUARE HOUSE

設計 小倉聡建築設計事務所
施工 ASJ つくばスタジオ [常陽建設株式会社]

ぐるりと囲まれた外皮(外壁)から、唯一、この場所が外部と室内を繋ぐ。ここから一歩足を踏み入れれば、驚くような開放感に満ちた空間が広がるのだ。

敷地は新興住宅街の一角。外部を遮断する真っ白な壁と内部からこぼれる光が美しく融合し、ひと際、存在感を放っている。①

建築家に伝えた要望は「遊びのある空間」

つくばエクスプレスの開通に伴い、新たに開発された沿線の大型分譲地の一画を購入したIさん。以前から理想のオンリーワンの我が家を求めて、週末はご夫婦揃って住宅展示場を巡ることも多かったそう。しかし、どれもありきたりで満足できなかったIさんは、散歩中に偶然見かけたASJの建築家展を見学し、そこでつくばスタジオの横田さんから建築家との家づくりを紹介された。
 「それまで建築家に依頼する手立てすらわかりませんでした。ASJなら登録建築家一五〇〇人の中から自分たちに合う建築家を探せると聞いて、それだったらじっくり選ぼうじゃないかと思ったんです(笑)」。
 それから約一ヵ月かけて、延べ 一〇〇人以上の建築家のホームページを閲覧し、辿り着いたのが建築家・小倉聡さんだった。
 「小倉さんのホームページに紹介されていた家づくりのコンセプト 〝こだわり・夢を大切にして空間づくりのお手伝いをする。建築家はわき役でいい。作りあげる楽しさを共
感したい〞に、僕たちはとても心を動かされました。これまで手掛けられた家も、自分たちの理想にぴったりだったんです」。
 こうして初めて小倉さんと対面したIさん。小倉さんはホームページで感じた印象の方で、〝この人なら任せられる〞という安心感があったという。
 「小倉さんには、〝無駄な空間を作って欲しい〞とリクエストしました。僕たちにとって〝無駄〞は〝遊び〞ということ。外から中の間取りが想像できないような、〝遊び〞のある、なおかつ、生活感のない家にしたかったんです」。
 その後、数回の打ち合わせを経て、小倉さんから提案されたプランは、Iさんの想像を越えるものだった。小倉さんのプランは、例えるなら一枚の外皮(外壁)が住居を覆うもので、この外皮(外壁)が周囲からの視線を遮り、プライバシーを確保する。そして、内部はその外観とは対照的に、大きな窓から光が降り注ぎ、外観からは想像もつかないような開放感に満ちたものだった。

真っ白な空間に映える赤いキッチン。家の中心にあって、まるでステージのようだ。そして、室内からはIさんのバイク、ホンダ・シャドウを見ることができる。②

シンプルな外観とは裏腹に、中庭やスキップフロア、ブリッジなどが設置され、内部は驚くほど変化に富んでいる。③
ガラスの踏み板の階段はIさんのリクエストのひとつ。④
落ち着いた色使いのトイレ。⑤
隠れ家をコンセプトに、LDKからは想像もつかないような別世界を演出。⑥
粘土質だった土壌をすべて入れ替え、野菜や果物、花などが植えられた菜園。これも家が出来てからの楽しみのひとつだとか。⑦

空間に合わせて収納の扉も白に。上部には明かり取り窓、そして、キャビネットの下には間接照明を組み込んで浮遊するような演出を。昼と夜では印象も異なるそう。⑧

コの字型に囲まれた中庭が平面的な広がりを与えるとともに、スキップフロアが立体的な変化をつくり出し、空間全体にリズムをもたらしていた。「平面図でも思ったけど、模型を見
たら、改めて〝すごいなぁ〞と思いました」とIさん。奥さまもこのプランを見て、「形になるのが楽しみで待ち遠しい」と喜んだそうだ。 「私たちの想い、夢、要望をすべて受け止め形にしてくださった小倉聡建築設計事務所の皆様、出会いを取り持ってくださった横田さんに感謝の気持ちでいっぱいです」。
 

家族みんなで楽しむ新居での暮らし

初回のプランを元に、本格的にスタートしたIさんの家づくりだが、その後は素材選びやコストダウンに約二年の歳月をかけたそうだ。小倉さんは、「僕たち建築家と建てる場合は、素材などの選択肢がとても幅広い。だから、Iさんには時間をかけて選んでもらいました。その期間に、コストダウンのための代替案の提案や優先順位の整理を図ることもできました」と話す。コストダウンのために、なかには諦めた要望もあったそうだが、その反面、ガラスの階段やLDKの真っ白な床のタイル、キッチンなどは「絶対に譲れなかった(笑)。だから、小倉さんや横田さんにがんばってもらいました」とIさん。こうして完成した新居に、友人達は「まず、外観を見て〝窓がない〞って驚きますね(笑)。それから家の中に入って、また〝ええっ?〞って驚きます(笑)。まさに、僕たちがリクエストした通りの家ができました」。
 入居から一年を迎える今、その住み心地にIさんは「大満足です。家にいる時間がずっと増えました。それだけこの家が快適ということですね」と話す。家族揃って中庭でバー
ベキューをしたり、家庭菜園で野菜や花を育てたり、プードル犬を新しい家族として迎えたり……。そして、Iさんの念願だったバイクも購入し、家族全員が新しい暮らしを存分に楽しんでいるようだ。Iさんご家族は、ただ〝家を建てた〞のではなく、この家を建てたことで〝+α〞の楽しみを得ることができたのだ。
(文/林ちえみ)

バルコニーのグレーチングの床から中庭の芝生へと光が降り注ぐ。外壁に組み込んだルーバーは外部からの視線を遮りつつ、風通しをはかる。⑨

内部に光をできるだけ多く取り込むように、外壁はギリギリの高さに設定。⑩
2 階には学生チャンピオンなどご子息たちの輝かし
い記録や勇姿を飾るコーナーも。⑧
陽光を取り込む仕掛けが随所に。外壁の一部はグレーのガルバリウム鋼板を採用。⑫
学生のころから憧れていたバイク。「家を建てたら絶対買おうと思っていた」とI さん。⑬

■SQUARE HOUSE

所在地

茨城県つくばみらい市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+子供3人

設計

小倉聡建築設計事務所
担当 小倉聡 大山和子 宇田川史子

施工

ASJつくばスタジオ[常陽建設株式会社]
 担当 横田尚史 倉持幸夫
設備 吉原設備工業 担当 吉原寿老
電気 岡田電気工事 担当 岡田芳則
外構・造園 伊藤工務店 担当 伊藤誠

構造・構法・規模

木造2×4工法
地上2階 
軒高 5,800mm 最高の高さ 8,384mm
敷地面積 241.55m2
建築面積  96.30m2(建蔽率39.86% 許容50%)
延床面積 172.74m2(容積率70.08% 許容100%)
 1階  93.55m2
 2階  79.19m2

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼板横葺き、一部FRP防水
外壁 サイディング下地+吹付け仕上げ、一部ガルバリウム鋼板
開口部 アルミサッシュ
外構  磁器質タイル貼(中庭部)、コンクリート金ゴテ

主な内部仕上げ

LDK
 床 磁器質タイル600角
 壁 珪藻塗り壁
 天井 クロス貼り
和室 
 床 畳
 壁 珪藻塗り壁・ビニールクロス
 天井 シナベニヤ+OS着色塗装
寝室・子供室
 床 合板フローリング
 壁・天井 クロス貼り

工程

設計期間 2009年12月~2011年 1月
工事期間 2011年 2月~2011年 7月

撮影

 中村絵(表紙 ①⑨⑩⑪)
 石河正武(②③④⑤⑥⑦⑧⑬)
 小倉聡(⑫)

小倉聡

[千葉市美浜区]

1965年千葉県生まれ/1989年千葉工業大学建築学科卒業後、日本電気コンストラクション株式会社に勤務/1995年株式会社U建築設計事務所入所/1996年小倉聡建築設計事務所設立

SQUARE HOUSE
 
 四角い箱の中に楽しさのある空間を詰め込みました。外観はよりシンプルに表現して、内部に変化に富んだ空間が存在します。
 プライバシーの確保と、光をより効果的に取り入れるように2か所の中庭を配置して、その外部も室内の延長であるような場所として作り上げ、より広さを感じられる家を計画しました。家を、外部空間を挟み更に外皮(外壁)で覆うという二重構造になっています。
 また、1階リビングから階段で降りる和室と、上がる洗面や浴室がスキップフロアで構成されています。これは、建主さんの要望であった隠れ家のような和室と、光の取り込みを考え上階の洗面浴室の高さを抑えたかったための構成です。
 これらの2つの要素が絡み合って、空間の面白さ、解放感を作り出しています。
 内部仕上げにおいてはご希望の白い空間の中に、アクセントとして赤いキッチンがLDKの中央に配置されています。インパクトのあるさし色としての役目と、赤が入ることで他の白い空間をより引き立たせています。
 建主のI様よりご指名いただいてから2年間いろいろな打ち合わせを行いました。時間もあったので納得のいく十分な検討が行えたと思います。またその間楽しい時間を共有できたことに感謝いたします。

ASJつくばスタジオ

[常陽建設株式会社]

スタジオマネージャー:横田尚史
 I様との出会いは、2009年9月、当スタジオのオープニングイベントでした。近くを散歩中に案内のぼりをご覧になり来場。建築家ネットワークのご説明をお聞きになったうえで、アカデミー会員になられました。
 入会から2ヵ月後、I様からご連絡がありました。ご自分でASJのWEBサイトをご覧になり、小倉先生とお話がしたいとのお申し出でした。後に聞いたのですが、理想に近い建築家を県内から近隣の県に至るまで探されたとのことでした。面談当日は、私も含め皆さんがとても緊張しながらお話をされていたことを覚えております。
 I様はさまざまな住宅展示場の建物を数多く見てきたそうで、いずれも普通の提案で満足のいくものではないとお話されていました。そのお話をもとに面談当日から住まいの理想像についてヒアリングを行いました。どのような間取りが出来上がってくるのか、I様は勿論私も非常に楽しみでした。
 次の打ち合わせ、過去見たことのないプラン。何年もこの仕事に携わってきましたが、空間的イメージがつかなかったことは初めてでした。後に大きな模型を見せて頂きようやく把握することができました。あの時のI様ご夫婦の感激された顔は今でも忘れません。プランも気に入って下さり、仕様が少々変わっただけで大きな変更もなく進みました。
 途中、東日本大震災という大きな災害があり、苦しい期間もありました。職方、当スタッフ、小倉先生、皆の力をひとつにし、苦難を乗り越え作り上げたI様邸。私自身、本当に思い出に残る住まい造りでした。心より感謝申し上げます。
 今後も、皆様に住まい造りの楽しさを知って頂ける様、精進して参りたいと思います。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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