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ASJ Works Close-up

光と風が踊る窓辺で家族とつむぐ優しい時間

長野県安曇野市

窓辺の家

設計 目時亮/一級建築士事務所MTKarchitects
施工 ASJ松本中央スタジオ[松本土建株式会社]

グレーと白のシックな外装に、空のブルーと植栽のグリーンが映える。左手のドアは外部収納への入り口。①

私たちが希望したことはただ〝明るい家〟のひとつだけ

 北アルプスの麓に広がる田園地帯、安曇野。南北にのびる常念山脈の悠然たる腕に抱かれ、輝く清流が涼やかな音色を奏でる風光明媚なこの地に、グレーと白のシックな外装をまとった「窓辺の家」がある。
 「子どもの発想力を豊かに伸ばせるような家を建てたかったんです。型にはまったプランは求めていなかったので、設計は建築家にお願いしようと考えていました。でも、依頼するにはどうしたらいいんだろう? いきなり事務所に連絡していいの? とイマイチ分からなくて。そんなときASJの建築家展のチラシを見つけて、ヒントになるかもしれないと参加したんです。そこでお会いしたのが建築家の目時亮さん。お話してみて、お願いするならこの人だねと、妻と私の意見が一致したんです」と、建主のAさん。
 決め手となったのは、目時さんの、イタリアで経験を積んだというプロフィールと、オレンジ色を斬新に使った過去の作品、この二つのポイントだ。なぜなら、イタリアの建物
や街並、そしてオレンジ色はAさんの大好きなものの代表だからである。
 半ば運命的な直感からスタートしたプロジェクトは、そこから滑らかに進行した。目時さんは、土地探しの段階から同行したのだという。
 「何もかも初めての経験だったので、常に目時先生とASJに相談できたのはとても心強かったです。景色の良い、この土地が見つかってから、私たちが希望したのは、ただ〝明るい家〞とだけ。プランに関しては、全面的に先生にお任せしました」。
 たったひとつの希望は、完璧に叶えられた。まず玄関は窓からだけでなく、二階からもポリカーボネートの床を通して光が降りて来る。そして、L字の建物のすべての部屋は中庭に面し、窓を開け放つと光とともに風が爽やかに舞い込む。極めつけは各居室のドアだ。ほぼすべてが格子戸になっているため、閉じても廊下に光が届くのである。

中庭に巡らされたL字のウッドデッキ。内から外への出入りがしやすく、腰掛けてのんびりするのにも最適。芝生と砂利、ウッドの3つの異素材のコントラストも美しい。②

 もちろん、この家の見どころはそれだけではない。なかでも注目すべきは「窓辺の家」を象徴する、ベンチが備えられた正方形の窓。それはまるで周囲の景色を窓という額縁で切り取った絵画のようだ。目時さんはリビングからの眺めがベストになるように、植栽の位置や枝の角度をこだわって決めたのだという。やはり、この窓辺はご夫妻ふたりとものお気に入りの場所。しかも、ほぼ平屋の建物なのでリビングの上に居室はなく、天井はかなり高い。この開放的な空間に据えられたベンチに腰掛け、窓外の景色を眺めれば、自然に心が安らぐようだ。
 「住み始めて何よりも良かったのは、遊び盛りの子どもが走り回れること。リビングからすぐに庭に出られて、しかも、子どもが遊んでいる様子がキッチンから見えるので、私も安心です」と奥様。
 庭を囲むようにL字に巡らされたウッドデッキは、リビング側は階段状になっており、内と外との行き来が容易だ。
 「せっかく菜園スペースもできたので、これから野菜や花を育てたいです。そして、やはりバーベキューがしたいですね。その時はASJの皆さんもぜひ一緒に」とAさん。
 完成したあとも、Aさんご夫妻とASJとのつながりは続いていく。安曇野の景色に溶け込むように建つ、自邸を眺めながらのバーベキューは、格別なものになりそうだ。
(取材/吉田桂)

柔らかな風合いのオーク材のフローリングと、落ち着いたブラックウォールナットのテーブルやAV ボード。濃淡の異なる木材が空間に心地よいリズムを生む。⑤

ベンチが備えられた窓辺の横には書斎がある。作業に集中しやすい、程よく“おこもり感”のある絶妙な広さ。しかし、デスクに向かって正面に植栽が眺められる窓と、背後にはリビングと繋がる小窓があるので、閉塞感はゼロだ。③
各居室のドアは格子戸になっており、部屋からの光が廊下へ届く。隣り合う空間で光を共有する仕組みだ。④
広々としたキッズルームにはドアを2 つ設け、将来は部屋を2 分割することも可能。梯子を上れば、寝室や読書スペースなど多目的に使えるロフトへ。⑥
LDK からは中庭とキッズルームが見える。家事をしながら子どもの様子が窺えるので安心だ。⑦
和室の大きな姿見は、和装着付けをする妻Mさんのリクエスト。⑨
多目的スペースのポリカーボネートの床から玄関へ光が降りて来る。⑨
ロフトから多目的スペース、階段の向こうの窓までが見渡せる。⑩
造り付けのAVボードの脇にはCDやDVDの収納棚を備えている。⑪
造り付けのAVボードの脇にはCDやDVDの収納棚を備えている。⑪

■窓辺の家 window scape

所在地

長野県安曇野市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+子供1人(現在)

設計

設計 目時亮/一級建築士事務所 MTKarchitects
構造 永田構造設計事務所 担当 永田秀正

施工

ASJ松本中央スタジオ[松本土建株式会社]
担当 宮澤昌弘 高木時浩

構造・構法・規模

木造在来工法
地上2階 
軒高 5,200mm 最高の高さ 5,791mm
敷地面積 269.08m2
建築面積  99.73m2(建蔽率37.06% 許容60%)
延床面積 114.76m2(容積率42.65% 許容200%)
 1階 92.40m2
 2階 22.36m2

主な外部仕上げ

屋根 ガリバリウム焼付塗装鋼板 立てハゼ葺
外壁 ラスモルタル+マジックコート左官仕上げ
レッドシダー本実パネル+オスモカラー塗布
開口部 アルミサッシュ 一部木製サッシュ
外構 コンクリート金ゴテ シンボルツリー/ヤマボウシ株立ち

主な内部仕上げ

LDK
 床 ナチュラル欧州オーク無垢フローリングt20
 壁 AEP仕上げ 一部イタリアンガラスモザイク20角貼り
 天井 構造用合板表し 一部AEP仕上げ
主寝室、子供部屋
 床 ナチュラル欧州オーク無垢フローリングt20
 壁 AEP仕上げ
 天井 構造用合板表し 一部AEP仕上げ
客間
 床 縁なし畳敷き
 壁 土佐和紙貼り
 天井 構造用合板表し
多目的スペース
 床 ナチュラル欧州オーク無垢フローリングt20
 壁 クロス貼り
 天井 構造用合板表し
書斎
 床 ナチュラル欧州オーク無垢フローリングt20
 壁 AEP仕上げ
 天井 構造用合板表し
*無垢フローリングは全て自然塗料自主施工

工程

設計期間 2011年 3月~2011年 9月
工事期間 2011年11月~2012年 6月

撮影

土居麻紀子(表紙 ②③④⑤⑥⑧⑨⑩⑪)
多田ユウコ(①⑦⑫)

断面図
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2階平面
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1階平面 縮尺1/200
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目時亮

[長野県北佐久郡軽井沢町]

1966年青森県生まれ/1989年芝浦工業大学工学部建築工学科卒業/1991年芝浦工業大学大学院建設工学修士課程修了後、INTERSTUDIO(イタリア)に勤務/1997年カザッポアンドアソシエイツ勤務/1998年2人のイタリア人ともにデザインユニットstudio colore結成/1999年一級建築士事務所MTKarchitects 設立/2017年 株式会社mA建築計画工房 入社

窓辺の家 window scape
 
 「この場所に風景をつくりたい…」。
 敷地を見て、そう最初にひらめいた。
 土地選びから始まった「窓辺の家」づくりは、安曇野の田園風景が広がる素晴らしいロケーションに完成しました。
 敷地の特性を活かし、水平と外のつながりを意識したプランは、ほぼ平屋の形をとり、客間と家族の多目的スペース部分のみを2階に、日常の空間は1階にL型に配置した形となっています。
 この家のテーマでもある色々な性格を帯びた窓は、「窓辺」という景色を創りだしています。窓辺を彩る多様な窓からは、光と風をふんだんに感じとることができます。窓は、機能的でありながら同時に詩的な想像力をもたらしてくれるのです。四季を通じて、一日の中で変化する窓辺は、住み手の五感に心地良い感覚を与えてくれます。
 また、この家のために特別にデザインしたオリジナル家具、クライアントのこだわりでもある幅広のナチュラルオークの無垢フローリング、あるいは家具に使われたブラックウォールナット無垢材などの自然な素材がつくりだす風景は、この家のもう一つのテーマであると言えます。
 壁の白と、やわらかな木の感覚が、日々の暮らしを優しく包み込む、そんなおおらかでシンプルな家です。
 ここで楽しく暮らす家族の姿と、この地に佇む住まいが、いつしかこの安曇野の風景となっていくことを願いつつ。

ASJ松本中央スタジオ

[松本土建株式会社]

スタジオマネージャー:宮澤昌弘
 引き渡し直前の現場で、目まぐるしく働いている職人さんたちの後ろに見えた「窓」の風景。その時これこそ目時先生がこの家のテーマにした「窓」なのだとやっと実感できました。更地の土地に立った時にこの風景がイメージできた目時先生に脱帽するとともに、この風景を毎日眺めることのできるA様をうらやましくも思いました。
 A様は私がASJ担当になった最初のイベントでご入会いただき、土地探しからお引き渡しまでお付き合いさせていただいた最初の会員様でした。お話しをした印象から目時先生との打ち合わせをお勧めしたのですが、間違いではなかったと確信しております。「いい家づくりは建築家と会員とのマッチング」だという思いは私の座右の銘となりつつありますが、これもA様との家づくりでいい結果が出たからなのだと思います。
 最初のヒアリングで「形にとらわれない豊かな発想力のある子供に育てたい」とおっしゃっていたA様。自らが研究職で発想力を必要とし、いつか職場復帰されるであろう奥様も、やっと言葉を話し始めたお子様も、家族みんなが気持ちの豊かさを共有できる家になったのではないかと思います。
 引き渡し直前、床のオイル塗りをA様と目時先生とともに行ったことで、ちょっとだけですが職人さんの家づくりの気持ちを味あわせていただくことができました。とてもいい思い出です。ありがとうございました。
 記念すべき第1号でいい家づくりができたこと、A様ご家族、目時先生に大変感謝しています。A様とはこれからがお付き合いの始まり。末永いお付き合いをお願いいたします。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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