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ASJ Works Close-up

あたたかな日だまりが建物の中心にある家

埼玉県久喜市

precious

設計 大橋崇弘 村上勝 熊澤英二/studio LOOP建築設計事務所
施工 ASJ熊谷スタジオ[小沢工業株式会社]

左側にのみ壁を設けた広いバルコニーが特徴的。建物の右側を進むと玄関がある。①

この家に暮らすようになって空を見ることが増えました

 カフェのエントランスのような磨りガラスの引き戸を開けると、そこは光あふれる吹き抜けのホール。見上げると大きな天窓から青い空が見え、清々しい気持ちになる。
 建主のKさんご夫妻は二〇〇七年一〇月に結婚し、賃貸のアパートに暮らしていた。結婚当初からいつかは家を建てたいと考え、雑誌を読んでイメージを膨らませていたという。
 「ありきたりの家じゃなくて、私たちが考えたものを形にしたいと思っていたので、家を建てるときは建築家にお願いしたいとは思っていました。でも、自分たちでアポイントをとるのが憚られて。そんなとき、ASJのチラシをポストで見つけたんです。行ってみたら……、そうとう長居してしまいました。建築家の方とじっくり話せる良い機会だと思って(笑)。そして後日、熊谷スタジオの岡田さんの引き合わせで、スタジオループさんにお会いすることができたんです」とKさん。
 ご夫妻の希望は、光と風がふんだんに室内に取り込めて、家にいながらにして季節が感じられる家。その願いを叶えたのが、建物の中心に設けられた、南北に渡る大型の天窓。天窓から降り注いだ光は二階のリビングを照らし、一階に降りては玄関ホールを照らし、さらにワーロン材の壁を抜けて寝室や和室までも照らす。光を溜めて各室に光を配る真っ
白なホールは、さながら中庭のような存在である。
 このホールを中心として二階に配されたのが、キッチンとバスルーム、そしてリビングルーム、ワークスペースだ。なかでも、壁一面すべてを無駄なく収納スペースとしたキッ
チンは、奥様こだわりの場所。
 「冷蔵庫や電子レンジなどの家電もストックしている食材や調味料も、ゴミ箱もすべて収納しています。収納するものに合わせてサイズを設定してもらったので、きっちり収まって使いやすい! それに、飾り棚にはお気に入りのルクルーゼの鍋をディスプレイできるのが嬉しいです」と、奥様は笑顔で語る。

ワークスペースの向こうにはガラス張りのバスルームが。②
ホールの光はワーロン材の壁を抜け左右の部屋を照らす。③
バルコニーと天窓から光が入り、明るく開放的な雰囲気のリビングダイニング。リラックスして過ごすのに最適。④
右手の壁は一面が収納スペースになっている。⑤
太陽光が白い壁により拡散され、室内にさらなる明るさをもたらす。使い方自由自在なソファは夫妻のお気に入り。⑥

そして、ガラス張りのバスルームがKさんのこだわり。
 「ホテルの居心地の良い空間が好きなので、自宅もホテルのようにしたかったんです。朝は、東側の窓から朝日が見えて最高の気分ですよ」。
 そして、何よりも驚いたのは奥様による丁寧な情報の収集と整理だ。ローンの金利から、出席したセミナーで学んだこと、打ち合わせで話した内容、収納計画のラフ、さらには引っ越し業者の傾向についてまで自身で分析し、しっかりと記録。それらはひとつのファイルとして保管されているのだ。つまり、そのすべてが家づくりの思い出。ご夫妻の並々ならぬ情熱が感じられる。
 「この家で暮らすようになって、天窓から空を見ることが多くなりました。夜は月が見えますし、雨の日は水滴がとてもきれいなんですよ。ふたりで階段に座って、ボーッと眺めていることもあります(笑)。これから初めての冬なので、雪がどんな風に見えるのか、今からとても楽しみなんです」と奥様。
 晴れた日にはリビングからひとつながりになった広めのバルコニーで寛ぎ、雨の日には天窓を流れる雨粒を眺めたり、ワークスペースで読書に親しむ。そんな、日ごとの天気、巡る季節、流れる時間を肌で感じ、毎日を楽しみながら暮らすことのできる幸せな家である。
(取材/吉田桂)

リビングからひとつながりの空間として使えるバルコニー。晴れた日には思い思いのドリンクを手に、景色を見ながらゆっくりと過ごすこともあるそう。⑦

1階の壁には光を通すワーロン材を使用。⑧
白で統一したホテルライクなバスルーム。東側に面しているため朝日を見ながらの入浴は最高とのこと。⑨
奥様の記録ファイル。手書きの収納レイアウトなど。⑩
窓際に小さな石庭を設けた和室。低い位置にある窓からは心地よい風が入ってくる。トトロのぬいぐるみは結婚式での奥様へのサプライズプレゼント。⑪
キッチンの収納には、奥様が集めたルクルーゼや紅茶の缶が飾られている。⑫
自然を感じられる可愛らしいディスプレイを施した1階のお客様用トイレ。⑬
東側から見る建物の後ろ姿。将来は中央に渡した梁を利用してバルコニーを延長することも可能だ。⑭

■precious

所在地

埼玉県久喜市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦

設計

設計者 * studio LOOP 建築設計事務所
 担当 大橋崇弘 村上勝 熊澤英二
構造 よしはら設計一級建築士事務所
 担当 吉原清道

施工

ASJ熊谷スタジオ[小沢工業株式会社]
 担当 岡田純一

構造・構法・規模

木造
地上2階 
軒高 6,837mm 最高の高さ 6,957mm
敷地面積 168.52m2
建築面積  79.26m2(建蔽率47.03% 許容50%)
延床面積 111.43m2(容積率66.12% 許容100%)
 1階  59.56m2
 2階  51.87m2

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼板 縦ハゼ葺
外壁 ガルバリウム鋼板 小波板
開口部 トステム アルミサッシュ
外構 2×4材 木製フェンス オスモ塗装仕上げ、
コンクリート打ち放し、
ウッドデッキ(セランガンバツ)

主な内部仕上げ

リビング
 床 カバ材 ウレタン塗装
 壁・天井 クロス貼り
玄関ホール
 床 磁器質タイル
 壁 ワーロンシート仕上げ
 天井 クロス貼り
寝室
 床 カーペット
 壁 クロス貼り、一部ワーロンシート仕上げ
 天井 クロス貼り
浴室
 床 磁器質タイル
 壁 FRP防水
 天井 ウレタン塗膜防水

工程

設計期間 2011年 2月~2011年11月
工事期間 2011年12月~2012年 7月

撮影

土居麻紀子(表紙 ②④⑧⑩⑪⑫⑬)
中村絵(①③⑤⑥⑦⑨⑭)

断面図
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2階平面
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1階平面 縮尺1/200
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大橋崇弘

[群馬県邑楽郡板倉町]

1979年群馬県生まれ/2004年米国テキサス州立大学アーリントン校建築学部卒業後、StudioGreenBlue 一級建築士事務所に勤務/2007年studio LOOP 建築設計事務所 共同設立

村上勝

1980年栃木県生まれ/2002年日本大学工学部建築学科卒業/2007年studio LOOP 建築設計事務所 共同設立

熊澤英二

1980年神奈川県生まれ/2004年米国テキサス州立大学アーリントン校建築学部卒業/2006年米国テキサス州立大学アーリントン校大学院修士課程修了後、米国studio[MUD]に勤務/2007年studio LOOP 建築設計事務所 共同設立

Precious
 
『天窓が生み出す屋内型中庭空間』
 敷地は埼玉県久喜市の新興住宅地にある東西に設定された分譲地で南北には住宅が建つ。我々は南からの採光が望めない中で明るく風の通る空間を思考し、南壁面に窓が無くても1階に光を取り込める様に中庭案とした。
 しかし通常の中庭とすると庭に面する部分にサッシや、各室に移動するための廊下が必要になり余分なコストがかかってしまう。そこで大きな天窓で中庭に屋根をかけサッシレスの繋がりを空間に持たせようと考えた。
 2階のLDKは天窓を持つ吹き抜け、駐車場の屋根となるデッキスペース、ガラスで囲まれた水周りと繋がり45畳以上の広がりを持つ。東から延びる道路へ繋がる位置に窓を設け、その並びにキッチンを配し風通しも良い。
 1階は寝室を並べ中庭側には光を通す素材を用いて日中は中庭から光をもらい、夜は諸室からの光が中庭を照らす。南からの光を一度切り離すという通常では受け入れ難い提案に賛同していただき、そこから長い時間を掛けて設計・施工にお付き合い頂いた建主のK夫妻、ASJ熊谷スタジオと共に造り上げた今作は昼夜、季節、天候を通して多様な光に包まれ、より光を意識できる豊かな建築となった。

SJ熊谷スタジオ

[小沢工業株式会]

スタジオマネージャー:岡田 純一
 『おしゃれな住まいプロジェクト』という建主K様からのご発案にてスタートした家づくりでしたが、思い返せば竣工-お引き渡しまで様々なドラマがありました。
 まず最初は「土地探し」。建物とのコストバランス・通勤に便利なところなどの条件を満たすいくつかの候補地を一緒に検討するものの、どれも決めるには物足りない物件ばかりでした。その数か月後、K様の熱意が届いたのか理想的な土地と出会い、ここを舞台にいよいよプロジェクトは加速していきます。
 次に「建築家選定」です。K様と一緒にASJホームページ・登録建築家のホームページを何度も繰り返し見ながら検討しました。そんな中「この方達なら…」と意見が一致したアトリエがstudioLOOP建築設計事務所でした。私の方から「どんなアトリエなのか直接訪問してみましょう」とその場ですぐアポイントを取ったのを覚えております。アトリエ訪問時には、studioLOOP 5人の建築家の方々が揃って出迎えてくれて、先生方のお人柄と楽しい会話でK様もすぐ意気投合されたようです。studioLOOPさんは第一回目の提案から1/50模型と何枚もの美しいCG画像で提案内容を分かりやすく説明。プランニングコースからその後の実施設計-建設工事に至るまで細かな部分にも配慮してくれました。
 融資の申し込みで何度も銀行にご一緒したこと。スタジオでの打ち合わせだけでは足らずに、何度となくファミレスでお茶を飲みながらお話ししたこと。設備機器のショールーム見学などなど…。イベント会場で初めてお会いしてから丸二年の月日を共に過ごし『おしゃれな住まいプロジェクト』はついに完結しました。ですが建物はこれからのK様ご家族の暮らしの中において、もっと『おしゃれ』になっていくことと思います。引き続きメンテナンス等でご訪問させていただく機会を楽しみにしております。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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