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ASJ Works Close-up

お洒落でいながらシンプルスキップフロアのある暮らし

山口県長門市

ナガトY

設計 中脇充博/73ARCHITECT
施工 ASJ山口スタジオ[時盛建設株式会社]

通り土間をはさんでリビングとキッチン・ダイニングを配置。お洒落な小物が光るインテリア。

黒いキューブのような特徴的な外観。二階部分の高さをほとんど感じさせない造りになっている。①

 畑の一角を造成して建てられたYさんご夫妻の家は、黒い箱のような形状であまり住宅らしくない外観だ。けれども内部に入ると優しい光にあふれている。また実際には二階建てだが、外から見るとほとんど高さを感じない。こうした秘密はスキップフロアを取り入れた設計にある。
 Yさん夫妻が家を建てたいと考え始めたのが二〜三年前。まだ土地はなかったが、もともと建築が好きで、あちこちに家を見に行ったり、よく建築雑誌を眺めたりしていた。参考のためにハウスメーカーも回ってみたが、「何かが違う。せっかくなら建築家で建てたい!」という気持ちを強くしていた。そんなときに見つけたASJのイベント広告。会場が近かったこともあり、足を運んでみることに。
 「実際に話してみると建築家の印象はずいぶん変わるものですね。設計する建物とは大きくイメージの違う人、それほど気に留めていなかったのに話が合う人など、やはり相性は大切だと思いました」とYさん。
 しばらくすると奥様の実家が持つ畑の一部に建築できることになり、家造りが本格化。設計を中脇充博さんにお願いしたのは三回目のイベントでじっくり話をしてからだ。「中
脇さんには最初のイベントでもお会いしていたのですが、あまり話ができなかったんです。それが、ゆっくり話してみると年齢も近いし、好きなもののテイストも合う。コミュニケーションがとても楽でした」。枠にはまらない中脇さんの作品も決め手のひとつになったという。
 「縁側と土間がほしい」「大きな開口部を設けたい」「外観はすっきりシンプルなものに」などなど、Yさんご夫妻の注文をまとめたプランはほぼイメージ通り。細かい部分以外はほとんど変更がなかったという。むしろ中脇さんから「Yさん、こんなの好きでは?」と、いろいろな提案があったという。そのひとつがスキップフロアだ。
 半地下の寝室から地上階のリビングとキッチン・ダイニング、さらにグランドピアノが置かれた半二階、最上階の部屋まで、全体がつながるような空間構成。間仕切りをほとん
ど付けていないため、あちこちに設けられた開口部から差し込む光で家中がとても明るい。木を多用した室内の居心地の良さは外観から想像できない。

必要最小限のものを備えたコンパクトでシンプルなキッチン・ダイニング。②

間仕切りがほとんどないため、開放的な室内空間となっている。③
洗い物をしながら会話する笑顔が絶えないYさん夫妻。④
壁に造り付けの食器棚。⑤

 縁側と土間もこの家の心地良さのひとつ。縁側では気候のいい時期に寝転がったり、お風呂上がりに夜空を見上げたり、また向かいの畑で作業する奥様のご家族の休憩所にもなっているとか。冬場は石油ストーブを置く場所としても活躍する土間は、将来、子どもができたら雨の日でも遊べるようにという配慮からだ。
 また、シンプルで機能的な造りになっていることも特徴的。例えばキッチンは奥様の動線に合わせたオリジナル。「不要なものは付けたくない」という奥様の意向で、調理器具の収納部には扉がなく、壁に造り付けた棚板が食器棚になっている。
「ショップで見た食器のディスプレイを真似してみました」と笑顔の奥様。
 シンプルな家を素敵に演出しているのが趣味のいい小物たち。音楽を聴いたり、本を読んだり、好きなものに囲まれて暮らすYさんご夫妻。いずれ子どもたちが生まれ、スキップフロアの階段を元気に飛び回るときがやってくるだろう。
(取材/湯浅玲子)

家の中心となっているスキップフロア。ピアノのあるフロアは半二階になる。⑥

家具やオーディオ、照明やカーテンにも趣味の良さが現れている。⑦
ピアノを弾いたり、読書をしたり、それぞれの趣味の
生活を楽しむY さんご夫妻。⑧
あらゆる方向から光が差し込む明るい室内。⑨
縁側の前に広がるのは季節の野菜が実る畑。⑩
大きな開口部から温かい光がこぼれる夜景も美しい。⑪
Y さんご夫妻の希望通り、すっきりシンプルな外観。⑫

■ナガトY

所在地

山口県長門市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦

設計

設計者 中脇充博/73ARCHITECT

施工

ASJ山口スタジオ[時盛建設株式会社]
担当 上山博明

構造・構法・規模

木造在来工法
地上2階 
軒高 5,400mm 最高の高さ 5,670mm
敷地面積 344.35m2
建築面積  79.26m2(建蔽率23.02% 許容60%)
延床面積 109.83m2(容積率31.90% 許容200%)
 1階   73.48m2
 2階   36.35m2

主な外部仕上げ

屋根 シート防水(遮熱防水工法)
外壁 ガルバリウム鋼板t=0.4平葺き
   弾性リシン吹付+無塗装サイディングt=14
開口部 アルミサッシュ 木製建具
外構 コンクリート舗装 砂利敷き 芝張り

主な内部仕上げ

LDK
 床 ナラフローリングt=15
 壁 GB-R t=12.5 寒冷紗パテしごき+EP
 天井 GB-R t=9.5 寒冷紗パテしごき+EP
寝室、クローゼット、便所
 床 ナラフローリングt=15
 壁 GB-R t=12.5 寒冷紗パテしごき+EP
腰部:普通型枠コンクリート打放し
 天井 GB-R t=9.5 寒冷紗パテしごき+EP
ピアノの部屋、個室1・2
 床 複合フローリングt=12
 壁 GB-R t=12.5 寒冷紗パテしごき+EP
 天井 GB-R t=9.5 寒冷紗パテしごき+EP
玄関、土間
 床 モルタルコテ押え+ウレタン系防塵塗装
 壁 GB-R t=12.5 寒冷紗パテしごき+EP
 天井 ナラフローリングt=15天井張
浴室
 床 モルタルコテ押え+FRP防水
 壁 繊維混入珪酸カルシウム板t=8+FRP防水
 天井 珪酸カルシウム板t=6+FRP防水

工程

設計期間 2010年11月~2011年9月
工事期間 2011年10月~2012年4月

撮影

高橋哲也(④⑤⑦⑧⑨)
野村和慎(表紙 ①②③⑥⑩⑪⑫)

A-A断面図
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B-B断面図
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C-C断面図
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2階平面
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1階平面 縮尺1/200
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1階平面 縮尺1/200
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中脇充博

[広島県東広島市]

1973年香川県生まれ/1996年近畿大学工学部建築学科卒業/2006年73ARCHITECT設立/2011年近畿大学工学部非常勤講師

ナガトY
 
要素の空間化
 もともとは畑だった一部を造成して家を建てることになりました。
 クライアントのご夫婦から、箱状、土間と縁側、段差、リビングと繋がるピアノのスペース、幅の広い階段、道路からの視線は遮る、南に面する大きな開口……など、漠然としたイメージではなく、比較的はっきりとした建築的な要素を言葉で頂きました。それらの要望をクリアしつつ、数ある空間要素が手段の目的化とならないためにも、如何に上手くスペースを繋いでいくかがプランニングの鍵となりました。
付かず離れずの関係性を築く
 道路より一段下がった土地に対し盛土をしなければいけなかったのですが、逆に上手く利用できないかと考えました。畑であったこの土地だからこそ生まれる空間をイメージしたのです。
 そこで、プライベート空間である寝室の床をもとの畑と同じレベルに設定して半地下とし、そこから半階ずつ上昇しながら緩やかに空間が連続する構成にしました。平面的に繋がるリビングとダイニング・キッチンは、間に土間を挟み込み、壁柱を設けることで互いに見え隠れする関係をつくりました。
 スキップ状の空間が距離を縮めたり、土間や壁柱が距離を保ったり、柔らかに分節されつつ緩やかに繋がっている、そんな付かず離れずの関係性が築けたのではないかと思っています。

ASJ山口スタジオ

[時盛建設株式会社]

クライアントパートナー:野村晋太郎
 今回のY様のご計画は建設地の選定からのスタートでしたが、ご入会後はしばらく検討中といった様子でした。住宅展にも行く度かご来場いただいている中で、建築地が決定し、すぐに現地調査及び建築家選定の打ち合わせを行いました。
 事前にY様の方でご要望もまとめられていて、数名の建築家リストも作っていらっしゃいましたので、好みの作風やイメージが良く伝わってきました。全体的にシャープな形、モノトーンな外観で平屋の様に建物の高さを低くしたいとのご要望でした。さらに奥様はピアノの講師をされていて、将来は自宅でピアノレッスンが出来たらとのご希望もございました。
 ご要望をまとめて早速中脇先生に相談したところ、打ち合わせ中のお話も盛り上がり、相性もピッタリですぐに建築地を確認して設計開始となりました。建設地については、辺りが畑で日当たりも良い所です。私自身も中脇先生がどんな設計をされるのか、楽しみにしておりました。
 中脇先生より提案された設計プレゼンでは、大変喜んでいただきました。半地下とスキップフロアの構成で、各部屋の立体的なつながり感が気に入っていただいたポイントかと思います。玄関からつづく通り土間も、使い方がいろいろあり楽しめそうです。その後の打ち合わせはこの基本設計よりほとんど変わることなく進み、設計図書が出来上がりました。
 地鎮祭や上棟式、餅まきにはご夫妻の親御様もお越しになり、ご家族皆さんにご心配いただき、且つ楽しみにしていただいていることを改めて感じました。
 工事も無事に終わりその後の点検に伺ったところ、引き渡し当初の様にきれいで、お洒落になっている家を見て大変嬉しく思いました。どうぞ引き続きオーナー様としてお付き合いの程よろしくお願いいたします。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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