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ASJ Works Close-up

訪れた誰もが去りがたいおもてなしカフェのある暮らし

福岡県久留米市

house dbc

設計 小林哲治/人の力設計室一級建築士事務所
施工 ASJ博多スタジオ[株式会社安成工務店]

明るい笑顔と光に満ちたD 邸のダイニングとリビング。数日前から準備されたという美味しいもてなしに感謝。

近所では「あの白い家」で通じるD 邸。夫妻は「10 年20 年、この白さを保つことが、これからの目標です」と口をそろえる。①

 小林さんが提案した設計コンセプトは『喜ばれるカフェのある生活』。夫妻も大いに賛同し、詳細は主に妻Kさんがアイディアを伝え、図面に盛り込んでは練り直しそぎ落としていくという作業が繰り返された。当時妻Kさんは第二子を妊娠中。陣痛が始まっても話は尽きず、退院一週間後には現場に赴いたというから驚きだ。「入院中も家のことばかり気になって(笑)。この壁面収納も白い木格子も、カウンターも、飾り棚も……思う存分好きなように作らせてもらいました」。妻Kさんの弾む笑顔の隣で、「こわもての建具屋さんが、すっかりおじいちゃん目線になったりと、D邸に関わる人みんなのモチベーションが上がった楽しい現場でした」と担当の片岡さんも目を細める。

ばんぺいゆ畑、テラスリビングからリビング、カフェ土間、前庭まで、さわやかな風が一直線に吹き抜けてゆく。③

屋根の上の特等席! 見晴らしと川風の心地良さ抜群で、「世俗が消え去ります」。②
広く使い勝手のよいカフェ土間。取材時には親子の自転車が並んで置かれ、息子Eくんも「オレんち、かっこーいーやろ!」とにっこり。④
手際よくピザを焼く妻Kさん。「”みせる”にこだわった、理想通りの最高のキッチンです」。⑤
「美味しそうだねー」。ママを見守るTさん父娘。妬けちゃうほど温かい光景。⑥

 近所では「あの白い家」で通じるというD邸。暮らし始めて一年、夫Tさんは「夏は風通しがよく冬は日だまりがいっぱい。最高の住み心地です」。妻Kさんは「この白さをずっと保ちたい。掃除をすればするほど、設計者の思いや気配りが解ってきて、ますます好きになるんです」と話す。 取材を忘れ、すっかり長居してしまった帰り際、息子のEくんが一つ先の角まで追いかけて大きく手を振ってくれた。両親からしっかり受け継がれているおもてなしの心。立ち去りがたいカフェのある家だった。
(取材/坂口紀美子)

随所に生活する人のアイディアが盛り込まれたD邸。キッチンの仕切りはカウンターにもなり、いま息子E くんの勉強机としても活躍している。⑦

パン教室にも通った妻K さんの手料理を囲んで歓談。ついつい取材を忘れてしまう。⑧
ばんぺいゆ畑までまっすぐ見渡せる長い廊下。取材当日は息子のEくんが元気に走り回っていた。⑨
子ども部屋。子どもたちはいつも、気持ち良さそうに床に寝ころんでいるそうだ。⑩
廊下の隠し収納
取材帰りにいただいた“Dカフェ”ブランドの天然酵母パン。⑪
「うちのトイレ、あんまり素敵なんで閉めておくのがもったいないんですよ」と妻Kさん。⑫
1階和室。差し込むほのかな明かりが気持ちを落ち着かせる。⑬

■house dbc ―喜ばれるカフェのある生活―

所在地

福岡県久留米市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+子供2人

設計

設計者 小林哲治/人の力設計室一級建築士事務所
担当 小林哲治 片岡佳苗

施工

ASJ博多スタジオ[株式会社安成工務店]

構造・構法・規模

木造在来工法
地上2階
軒高 5,650mm 最高の高さ 7,460mm
敷地面積 199.00m2
建築面積  74.93m2(建蔽率37.65% 許容60%)
延床面積  99.71m2(容積率50.10% 許容80%)

 1階 64.73m2
 2階 34.98m2

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼板たてはぜ葺き
外壁 ベルアートコテ仕上げ
開口部 アルミサッシュ

主な内部仕上げ

ダイニング・リビング
 床 杉無垢板張り
 壁・天井 漆喰系塗材コテ仕上げ
キッチン
 床 杉無垢板張り
 壁 タイル張り
 天井 クロス貼り
主寝室・子供室
 床 杉無垢板張り
 壁・天井 クロス貼り
和室
 床 琉球畳敷き
 壁・天井 和紙貼り

工程

設計期間 2011年 12月~2012年 5月
工事期間 2012年 5月~2012年 10月

撮影

坂口紀美子(表紙 ②⑤⑥⑧⑪)
針金洋介(①③④⑦⑨⑩⑫⑬)

断面図
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ロフト
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2階平面
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2階平面
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1階平面 縮尺1/200
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小林哲治

[福岡市東区]

1971年千葉県生まれ/1995年九州産業大学工学部建築学科卒業後、株式会社青木茂建築工房に勤務/1996年神力建築工房入所/2006年人の力設計室一級建築士事務所設立/2011年九州産業大学非常勤講師

house dbc -喜ばれるカフェのある生活-
 
 “カフェでゆったりとくつろぐような暮らし”をデザインした住宅です。
ふとたたずんでしまう瞬間は、旅先等の非日常だけのものではありません。季節で移る雲や木々の香り、光の色。時には思い出を重ねてあの頃の気持ちを振り返る。これらは「日常に潜む非日常」であり、五感を研ぎ澄ませられる人であれば感じられる瞬間です。しかし油断をすると、忙しい日常はそんな非日常(微差)を塗りつぶしてしまいます。
 house dbcでは、それら(微差)を感じるための居場所をたくさんつくりました。そこはまるでカフェのような心地よさです。流れる時間は場所ごとに異なり、気持ちを研ぎ澄ませば、特別な時間を過ごすことができます。
 ぽっかりとひろがる夕暮れの空、四季を映し出す裏のばんぺいゆ畑。そして白い土間に刻まれた夏の影や冬の陽だまり。感性により発見されたその居場所は、独りで想いに耽り、二人で対話する時間をつくりだすことでしょう。
 house dbcは忙しい日常のための機能性と、心を休めるためのくつろぐ居場所を、両立させた住宅です。
 更にこの考え方は、竣工後もクライアントに引き継がれています。カフェ土間には、自分達で白く塗装されたイスやテーブルが置かれました。住宅に点在する白い額縁には、歓待の印である草花や工芸品が飾られており、訪れる人達を歓迎してくれます。そしてこれらの所作は『Dカフェ』というカフェとして、家族とその周りの人達を結ぶ“きっかけ”となっています。
 その後、私達が遊びに行くと、パンが焼ける香りが迎えてくれます。久しぶりの再会は、新しい発見とお互いの出来事の四方山話、そして美味しいランチであっという間に日が暮れてしまいます。帰り際に頂いたパンは、なんと“D cafe”の印が押された袋に入っていました。Kさんは「カフェのある生活」の面白さを、更に満喫していました。
 よりくつろぎやすいように、よりたのしめるように、住人によって更新されることで、住宅はより住宅らしく成長していくのです。

ASJ博多スタジオ

[株式会社安成工務店]

スタジオマネージャー:宮崎克史
 お住まいの最後の工事が完了し、お客様が鍵を手にドアを開いて、足を踏み入れる。新しいお住まいの始まりのシーンです。このとき、普通はお客様も建物もお互いに、照れてぎこちない挨拶を交わすようにその関係を始め、徐々にお互いのことを知り、慣れていくものです。ですが、「D様ご家族」とD様邸「house dbc」は、その新しい住まいの瞬間から、不思議なほど「しっくり」としていて私たちを驚かせたことが、鮮やかな印象として残っています。
 これは何より、D様と小林先生が、お互いのアイデアをコトコト煮詰めていった、その気が遠くなるような時間と「想い」が生み出した結果であり、建築家とお客様の執念に、私たちは「建築家とつくる家」の意義を見たよう気がいたしました。ほんとのところ、お引き渡しも何時間(いや、何日、という単位かも)かけたろうか?というほどです。
 私どもは建築後の年数にかかわらず、1年に一度以上必ず、お引き渡しをさせていただきましたお客様のお宅をご訪問しておりますので、今後もD様のご家族とお住まいの関係に、色々な意味でかかわっていけるのが、ひそかな楽しみです。
 D様、私どもも含め、みんなが「おじいちゃん」、「おばあちゃん」になっても、いつまでもよろしくお願いいたします。あ、美味しいパンもお願いしますね~。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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