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ASJ Works Close-up

いろいろな住まいを提案する家

高知県四万十市

四万十の家

設計 細川範規/C+C design一級建築士事務所
施工 ASJ四万十スタジオ[有限会社ササハラ鉄骨]

2 階のテラスがキッチンやリビングに光を届ける。

箱形で、なおかつ2 階が1 階よりも大きく、さらに窓がない外観はSさんのオーダー。①

さまざまな要望を形に

 二階への階段は、幅が広く、傾斜がとても緩やか。テラスから降り注ぐ光に、足取りも軽くなる。
 「二階に居住空間を配しています。そのため、階段の利用がしぜんと多くなるでしょう。そこで、身体への負担が少なく、しかも、壁は片側だけにした開放的な構造を実現していただきました。今後はギャラリーのように絵画などを飾り、楽しみながら上り下りができるように工夫したいと考えています」。
 そう語るのは、建て主のSさん。家族それぞれの生活パターンを充分に考えたうえでのプランだった。
 そんな家族思いの階段を上がると、テラスをはさんでキッチンがあり、奥様は夕食の準備をしながら、Sさんや子供達の上がってくる姿を見て、身体や心の調子を推測するという。
 また、キッチンの戸棚やその横のパントリーは収納量がたっぷり。とくにパントリーには調理器具のほか日用雑貨などが美しく納まっている。
 「パントリーがあるので、食料品や日用品がストックしやすくなりました。動線を考えたり、収納容器を工夫したりして、より便利な収納を研究するのも楽しいですね」。
 さらに、キッチンとリビングの間には小さなデスクがあり、子供達が宿題をすませることもあるとか。ダイニングやリビングで勉強をする子供は、成績がよいといわれ、そのためのスペースを設ける家もあるというから、S様邸の机はお手本になりそう。そのほか、子供部屋のつくり方には、S家ならではの教育方針が現れている。
 「子供部屋の壁の色や構造は、子供自身に決めさせました。高校生の長女は、念願のロフトでよく読書をしています。ただ、驚かされたのは小学生の二女の要望でした」。
 奥様の説明によると、そのお嬢さんのオーダーは、天井の色をピンクに、壁の色を緑や青、黄色にというものだった。
 「色数が多いと落ち着けないと思い、娘には二色に絞ることを提案しました。そこで、彼女が選んだのが青と緑の組合せです。これが意外におしゃれで。訪問客のなかには、自宅に採用された方もいます」。
 部屋づくりが、子供達の隠れた才能を引き出してくれることもある。

キッチンは限られた予算で高級感を演出。②

部屋のなかのテラスがキッチンやダイニングに明るさと開放感を与えている。③
キッチンからはテーブルやリビングでくつろぐ家族の姿を眺めることができる。④
キッチン周辺につくられた大容量の収納スペースがスマートな暮らしをサポート。⑤

それぞれの家を個性的に

実は、Sさんが家を建てた目的は、これまでに紹介した方々のそれとは少し異なっている。なぜなら、Sさんは親の代から続く工務店の社長であり、ご自身も建築士として、住宅や店舗の設計・建築を手がけてこられた。そして昨年にはASJ四万十スタジオとして登録。つまり、S様邸はASJ四万十スタジオの施工第一号であり、スタジオと展示場の役割も果たしている。
 「新しい家づくりに挑戦したいと、ASJの審査を受けて登録しました。
ハウスメーカーの代理店という選択肢もありましたが、型どおりの家ではなく、お客様それぞれの個性に合わせた家づくりを続けたくて、ASJを選びました」。
 そんなSさんの家づくりは、まず、建築家を選ぶところから始まった。
 「ASJの会員になった気持ちで、まず、ASJのホームページから、四国で活躍する建築家を検索し、施工事例などから数人をピックアップしました。そのうえで、建築家を幅広く知るASJの担当者の意見を参考にしながら、細川範規さんにお願いすることにしたのです」
 Sさんは、外観にもこだわりがあり、二階が一階よりも大きくなる箱形のスタイリッシュな構造を希望されていた。細川氏の施工事例にはこうしたスタイルが多く見られる。また、ASJの担当者は、細川氏が建て主の依頼には可能な限り対応する、柔軟な姿勢の持ち主であることをつかんでいた。
 「細川さんは、私が依頼した多種多様なオーダーをバランスよく形にしてくれました。それには、設計経験のある私も驚いています」。
 そんなSさんの言葉を聞いて、奥様が当時のことを思い出してくださった。
 「建築家の方を選ぶ際に感じたのは、漠然とした不安です。その点で、ASJに登録されている建築家の方は、審査に合格した方ばかりなので安心できますね。気軽にプランニングに進みやすいなと感じました」。

ロフトは長女のお嬢さんの読書スペースに。落ち着いて本が読めるという。⑥
次女のお嬢さんが壁の色に望んだ5 色は飾り棚の色に採用。⑦⑧

めいめいの予算に合わせた家に

S様邸の特長の一つがキッチン。とくに大理石のような床は高級感を漂わせている。
 「いえいえ、これはそれほど高価な素材ではありません。壁も塗り壁ではなく壁紙です。高級な素材を使わなくても、お客様や建築家のイメージや要望に応えたいと考えています。お客様めいめいの予算に近づける――。それがスタジオとしての腕の見せどころでしょうか」。
 ただし、すべての価格を抑えるのではなく、住む人の考えやセンス、さらに建築家のこだわりや感性を反映させることも大切だと、Sさんは考えている。つまり、メリハリのある家づくりを追求したいと。確かに、Sさんのキッチンのシンク壁面には、小さなタイルが一枚、一枚、丁寧に貼られていて、人の手のぬくもりを感じさせる。また、ガレージには、愛車が眺められるような窓も設けられている。なんといっても、二階に設けられたガラス張りのテラスは、一見、空間のむだ遣いのようだが、二階フロアに明るさや開放感を与えている。
 最後の清流といわれる四万十川。その清らかな流れを守り続けてきた四万十市の発展を、家づくりで支えようとするSさん。そして、その夢に協力しようと、自分達のプライベート空間を公開されるご家族。その住まいには、地元、四万十を大切に思う気持ちが詰まっている。
(取材/香川泰子)

キッチンの横につくられたパントリー。「使いやすい収納を考えるのも楽しいですよ」とは奥様。⑨
幅木のない壁面が廊下を広く見せている。⑩
ASJ 四万十スタジオへは専用の入口から。⑪
ガレージとの間の壁には窓を設けた。階段を下りるときには愛車が一枚の写真のように眺められる。⑫
四万十スタジオのドアやインテリアにはASJのシンボルカラーを取り入れた。⑬
居住空間とスタジオの間のガレージはSさんのリフレッシュコーナーでもある。⑭
踊り場を2ヵ所設けた緩やかな階段。片持ち構造のように見えるが支柱が入った贅沢なつくり。⑮
「夜の表情にも気を配りたい」とはSさん。⑯

■四万十の家

所在地

高知県四万十市

主要用途

事務所併用住宅

家族構成

夫婦+子供2人

設計

細川範規/C+C design一級建築士事務所

施工

ASJ四万十スタジオ[有限会社ササハラ鉄骨]

構造・構法・規模

木造在来工法
地上2階 
軒高 6,048mm 最高の高さ 6,898mm
敷地面積 431.57m2
建築面積 125.75m2 (建蔽率29.14% 許容60%)
延床面積 209.97m2 (容積率48.65% 許容200%)
 1階   110.75m2
 2階   99.22m2

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼板
外壁 専用サイディング下地ベルアートテール仕上げ
開口部 アルミサッシュ
外構 杉板本実型枠コンクリート打ち放し

主な内部仕上げ

玄関ホール、リビング、個室
 床 木質フローリング
 壁・天井 クロス貼り
ダイニングキッチン
 床 天然石貼
 壁・天井 クロス貼り
事務所
 床 モルタル金コテワックス仕上げ
 壁・天井 クロス貼

工程

設計期間 2012年10月~2013年 3月
工事期間 2013年 5月~2013年11月

撮影

水野真澄(表紙 ①②③④⑤⑥⑦⑨⑩⑪⑫⑬⑭)
藤村泰一(⑧⑮⑯)

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B-B'断面図
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A-A'断面図
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2階平面
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1階平面 縮尺1/200
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細川範規

[愛媛県松山市]

1966年愛媛県生まれ/1986年京都建築専門学校建築学科卒業後、京都市、松山市の建築設計事務所を経て、1998年細川建築設計事務所設立/2006年C+C design一級建築士事務所に改称

四万十の家
 
 敷地は高知県四万十市。住宅地ですがところどころに田園が残っている、そんな穏やかな場所にあります。
 計画は事務所とガレージを併せ持つ住宅。この地で新しく四万十スタジオを立ち上げるにあたり、クライアントからの要望は「箱形の特徴的な外観と広い階段」でした。
 平面計画は居住部分と事務所を明確に分離させるため車庫を中心に配置しました。外観フォルムをより強調するためファサードには極力開口部を設けず閉鎖的にしています。
 2階が主な居住スペースになりますが、広い階段を上がると屋根が解放され、たっぷりと陽が入る中庭を配置しました。外観からは想像できないような明るく気持ちのいい空間になっています。この中庭を取り囲むように、リビング、ダイニング、キッチン、洗面室を緩やかに連続させています。そして中庭部分のガラスの面積を多くすることで視線の抜けを作り、実面積以上の開放感を与えています。
 リビングとダイニングの間に収納機能を備えたカウンターを設け、誰でも使えるスペースとなっています。ここがお子様のお気に入りの場所となり、勉強をするのに利用されているそうで、とても嬉しく思います。
 設計の依頼をいただき感謝するとともに、ご家族のご健康と、四万十スタジオのご繁栄を心から祈っております。

ASJ四万十スタジオ

[有限会社ササハラ鉄骨]

クライアントパートナー:前田和也
 弊社スタジオ兼住宅を設計していただく建築家の先生を、クライアントであり当スタジオのスタジオマネージャーでもあるSさんと幾度となく吟味していく中で、テーマが箱型・白・シンプルを基調とした作品を中心に四国近辺の建築家を検索していたところ、二人とも細川先生の作品に目が留まりました。
 早速お会いした途端に意気投合して、とんとん拍子に物事が進んでいきました。Sさんもこの道のプロでありこだわりもある方なので、お互いに「もっといいものを」「もっとこの辺こだわりましょう」などとものすごく物作りに対する熱い思いが、ビシビシとこちらに伝わってきました。
 そのなかでも一番のこだわりがこの作品の肝となる階段でした。巾が広く、ゆったりしたゆるやかな陽が差し込む明るい階段ということでその製作を担当することになりました。この道50年近い経験豊富な大工棟梁が試行錯誤しながら「今までもこれから先もこんな手間のかかるこんな立派な階段を作ることは二度とないでしょう」と何度も言っていたことを今でも思い出します。
 そしてその階段から続くホール・リビング・ダイニング・キッチンといった居住スペースに包まれる中庭……。一つ一つの空間が絶妙なバランスを保って構築されています。出来上がってあらためて細川先生の意図していることが解ったような気がします。ありがとうございました。そして今後ともよろしくお願いいたします。
 これからも当スタジオはお客様の笑顔を求めて、家づくりをしていきたいと思っています。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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