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ASJ Works Close-up

“感覚”を軸に細部にこそこだわったイメージ通りの家

福岡市南区

F.F.S.H

設計 佐々木寿久/アートレ建築空間
施工 ASJ筑紫第2スタジオ[株式会社広田建創]

外観ではわずかな窓しかなく採光が心配になるS 邸。しかし、一歩なかに入ると、視野が広がるような明るい空間が待っている。①

 九州最大の繁華街、天神・博多へも好立地。閑静な住宅街にS邸はある。風薫る五月に訪れたこの日、明るいリビングでは翌月三歳になる息子のKくんが元気いっぱいに駆け回っていた。「毎日このエネルギー(笑)。新築を破壊されそうで、ハラハラですよ」。Sさんが目を細める。
 Sさん夫妻はKくん誕生の翌二〇十二年、「消費税増税の前に」と土地探しを開始。ASJのチラシを見た妻Kさんの発案で建築家展を訪れ、佐々木さんに出会った。その際の話題は、「家づくりというより、お互いが好きな鞄ブランドの話ばかり」だったそうだが、Sさんは即日プラン提案を依頼したという。「佐々木さんの第一印象はいかにも建築家。面白い家を作ってくれそう、自分と〝感覚〞があうと強く感じました」。
 それから着工まで、まる一年。眼前の道が狭く車の取り回しが難しい土地の形状から、大幅な計画変更も含め、数知れない打ち合わせを重ねたという。とはいえ、〝感覚〞のあう両者の打ち合わせは実に楽しく広く深く細部に渡り、Sさんの理想である『よりかっこよく、奇抜な家』に向かって暴走しそうになったことも。「要らないものまで作り込みそうな勢いで内心ひやひや(笑)。私の役割は、実用性との兼ね合いについて時々〝ジャブ〞を入れることでした」。傍らで、妻Kさんが笑う。
 「ディテールこそこだわりたくて、白壁と枠材が一体化するよう薄く低く納めてもらったり、材料や塗料のサンプルを数多く取り寄せてもらったり。設計・施工期間ともに、自分のアイディアをプロの目で判定してもらえる至福の時でした」とSさん。だから、竣工時には、「もう、打ち合わせも仕様決めもできなくなるのか…」と寂しさに襲われたという。佐々木さんも「Sさんの建築に対する詳しさと熱い思いは脱帽もの。まさに一緒に作った家です」とうなずく。

キッチンに立って、家族の様子をみつめる時間が好き」とは妻のKさん。リビングは家族の憩いの場だ。②

エントランスからホール、寝室を望む。③
ホール上の吹き抜け。木の梁は、敢えて色を塗るよう依頼をしたそう。④
素材、サイズ、配置の幅、塗装…細かい仕様を確認しつつ決めたという手すり。⑤

 入居は今年の正月明け。が、半年経った今もまだ家具の購入や荷ほどきは完了していないという。「これからずっと住む家ですから、焦らず楽しみながら自分たちの家にしてゆきたい。子どもの成長に伴って間取りも柔軟に考えたいですし。その時は……」。そう言って笑顔でアイコンタクトしあうSさんと佐々木さんの間には、もう家づくりの第二章が始まっているようだった。
(取材/坂口紀美子)

開放感でいっぱいのリビング。テラスへはガラス扉一枚で繋がっている。⑥

白壁と木部が薄く低く納められた美しいリビング。「細やかな作業ばかりでご苦労があったと思う。感謝しています」とS さん。⑦

和室。「リビングの明るさから一転、和室の仄暗さのギャップが良いんです」と妻のKさん。⑨

中央に仕切りレールが施された子ども部屋。⑧
テラスはK くんとウサギの格好の遊び場だ。⑩
天窓からいつでも明るい天空光が注ぐ。⑪
撮影していると、階下からKくんのかわいい声が。「おーい!」⑫
隣家に茂る樹木が美しい。まさに借景。⑬
「ここがボクの家!」とばかりに元気に駆け回るKくん。⑭
S 邸正面外観。⑮
前庭から2 階をあおぐ。二重の壁によってプライバシーがしっかり確保されている。⑯

■F.F.S.H

所在地

福岡県福岡市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+子供1人

設計

佐々木寿久/アートレ建築空間 一級建築士事務所

施工

ASJ筑紫第2スタジオ[株式会社広田建創]

構造・構法・規模

木造在来工法
地上 2階 
軒高 6,100mm 最高の高さ 6,600mm
敷地面積 167.58m2
建築面積  73.90m2(建蔽率44.09% 許容50%)
延床面積 122.22m2(容積率72.93% 許容80%)
 1階 60.45m2
 2階 61.77m2

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼板立てハゼ葺き
外壁 ガルバリウム鋼板(波板)
   弾性リシン吹付
開口部 アルミサッシュ
外構  コンクリート金ゴテ仕上げ

主な内部仕上げ

全般
 床 無垢板フローリング
 壁・天井 漆喰塗仕上げ

工程

設計期間 2012年8月~2013年 6月
工事期間 2013年7月~2013年12月

撮影

坂口紀美子(②⑩⑪⑫⑬⑭)
石井紀久(表紙 ①③④⑤⑥⑦⑧⑨⑮⑯)

断面図B
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断面図A
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2階平面
クリックで拡大
1階平面 縮尺1/200
クリックで拡大

佐々木寿久

[福岡市博多区]

1968年長崎県生まれ/1987年長崎南山高等学校卒業/1988年ヤマトマネキン環境開発本部入社/1998年設計事務所入社/2000年佐々木設計室設立/2008年アートレ建築空間 一級建築士事務所に改称

F.F.S.H
 
 そこは福岡市内の市街地、車同士の離合が厳しい道の先にある袋小路の土地。第一に車の敷地内での方向転換が課題となり、それが建物の位置決定の大きな要因となった。そして北側の道路を除いた三方は住宅に囲まれており、周辺の環境を家の中に取りこめる望みは少なかった。
 そこで今回、家の中に外部空間を作る手法を考えた。隣地に対して大きな開口を設けると日中、カーテンを閉めたままの生活が目に見えている。それではせっかくの開口が台無しである。それをリビングと隣地の間に1枚の壁を設けることで実現できた。1つはリビングからつながるテラス空間となり、もう1つは中庭の吹抜け空間となった。効果はそれだけではなく、お互いの家の生活音を気にすることも少ないと考えられ、1階にある中庭の吹抜け空間により上昇気流で心地よい風も抜ける。
 中庭にはS様がこだわった3mを超えるヒメシャラを植え、市街地の中とはいえ自然の空間が生まれた。
 2階にパブリックスペース、1階にはプライベートスペース。互いにそこをつなぐ空間にトップライトを設け空気間の切り替えを行っている。内装に関してはシンプルというより触った感じの素材感を重要視し、決定していった。
 外観は一見すると窓も少ないため窮屈かつ暗いイメージかと思うのだが家の中に入ると一転、吹抜けとトップライトの明るさで視野の広がる空間となっている。
 S様とは細部な打合せにまで付き合っていただき、手に取って材料を確認できたことで建築の完成度は高まった。この建物が長く街に馴染み、1つの景色となっていくことだろう。

ASJ筑紫第2スタジオ

[株式会社広田建創]

スタジオマネージャー:横山淳一
 S様との出会いは、イベントに来場された2012年6月30日のことです。会場で快く御入会していただきました。その際佐々木先生の実績と人柄が決め手となり、プランニングコースがスタートしました。
 ファーストプレゼンに於いては検討中の他社様が有りながらも、とても気に入られ先に進むこととなりました。その後もお仕事で大変ご多忙の中、時間を作っていただき打ち合わせを重ねることができました。
 又S様と奥様にはスタジオや現場スタッフに対して格別のお気遣いをいただきました。特に思い出されるのは、8月3日猛暑の日の上棟式では、私共の体調を気に掛けていただいたことを鮮明に覚えています。
 工事においても、水道を隣家からお借りする際や前面道路の舗装が不十分であったこと等、ご理解とご協力、誠にありがとうございました。
 これからS様にいただいた御恩に報いるべく、アフターサービスに努めたいと思っております。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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