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ASJ Works Close-up

飛び出た煙突が目印の三角屋根の真っ黒な家

茨城県守谷市

SUBACO

設計 吉川直行/吉デザイン設計事務所
施工 ASJかしわ・もりやスタジオ[有限会社Beハウス・アクト]

インナーテラスと吹き抜けの窓のおかげで、玄関の土間にも光が降り注ぐ。

 まるで北欧の絵本に登場しそうな建物だ。それがY様邸を目にした時の第一印象。三角屋根に煙突が可愛らしい。屋根も外壁も煙突までも真っ黒であるにもかかわらず、どこかぬくもりを感じられるのは、きっと表情豊かな質感のおかげだろう。表面に施したアスファルトが光を柔らかく吸収することで硬質さが抑えられ、黒一色ながら優しげな印象となるのだ。
「せっかく家を建てるなら、自分が好きなようにこだわって建てたいと思っていたので、ハウスメーカーではなく建築家の方にお願いしたかったんです。家に届いたチラシでASJのことを知り、イベントを覗いてみたのがきっかけでした」と奥様。今回の家づくりは、実は奥様が中心となって進められた。家具工場で勤めた経験があり、木工職人を目指したこともあるとあって、インテリアに関して優れたバランス感覚と揺らぎないこだわりをもつ。設計を担当した吉川直行さんを指名したのも奥様だったそうだ。
 土地選びから始まった家づくりは、終始和気あいあいとした雰囲気のなかで進められた。打ち合わせでは、雑談のなかで飛び出したキーワードからイメージが膨らむこともあったという。そして、奥様が発したのが「北欧デザインが好きで、自然が好き」という言葉。ここから木や石、鉄といった自然素材を組み合わせた家が誕生した。

吹き抜けを介して、ストーブによる暖かな空気が2階へと運ばれる。

家族の団欒を包む、暖かな炎。
玄関のちょっとしたディスプレイにも奥様のセンスが光る。

 家のなかで最も印象的なのは、玄関を入ってすぐの土間にある薪ストーブだろう。コンパクトながら、これ一台で1階全体はもちろんのこと、吹き抜けを介して2階までも温まるのだ。「炎を見ているだけでも癒されるんです」と奥様もお気に入り。駐車場脇に木製の薪置き場を設置し、薪をくべるのはご主人様の担当とのことだ。
 1階にはリビングを中心にダイニングキッチン、バスルーム、和室、インナーテラスがある。そして、2階には主寝室と子ども部屋。この2フロアは吹き抜けでひとつの空間としてつながっていて、家族がどこにいても気配を感じながら安心して過ごせるのだ。2階の子ども部屋の前の廊下には、吹き抜けを臨むようにして大きなデスクが設けられている。ここは子どもたちの勉強スペース。顔を上げれば、南側の大きな窓から陽の光が降り注ぐ、この家のなかの特等席ともいえる場所を、12歳と7歳のお嬢様ふたりが仲良く共有しているのだそう。
 ご主人様が一番好きなのは和室。小上がり風に床面から一段高くなっているので、そこに腰掛けて過ごしたり、ビーズクッションに下のお嬢様と一緒に座ってテレビを見たりしているという。
 そして、ご夫婦で晩酌を楽しむダイニングも好きな場所。「ルイスポールセンのペンダントライトだけを灯すのが好きなんです」と奥様。北欧生まれの照明の代表格であるルイスポールセンが放つオレンジ色の光が、ダイニングをさらにあたたかな空気で満たしてくれるのだ。
「この家で暮らすようになってから、出かけずに家で過ごすことが多くなりました」と奥様が微笑む。妥協せず、こだわりをもって実現した理想の家。世界中のどんな場所よりもきっと居心地のよい場所であることは間違いないだろう。
(取材/吉田桂)

左手の壁にはタイルを、キッチンカウンターにはモルタルを施している。
小上がり風の和室はご主人様お気に入りの場所。

リビングのハンモックは、テレビを見るときやお昼寝に大活躍。

子供部屋にも無垢材を多用。ロフトのおかげで収納力もたっぷり確保。
2階は吹き抜けを中心にぐるりと回れるような間取りに。
キッチンからでもダイニングからでも洗面室へ行けるのが便利。

■SUBACO

所在地

茨城県守谷市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+子供2人

設計

吉川直行/吉デザイン設計事務所

施工

ASJかしわ・もりやスタジオ[有限会社Beハウス・アクト]

構造・構法・規模

木造在来工法
地上2階
軒高 6,164mm  最高の高さ 8,374mm
敷地面積 353.23㎡
建築面積  68.31㎡(建蔽率19.33% 許容60%)
延床面積 124.83㎡(容積率35.33% 許容200%)
 1階   66.45㎡
 2階   58.38㎡

主な外部仕上げ

屋根 アスファルトシングル
外壁 アスファルトシングル
開口部 アルミ+樹脂サッシ
外構 土間コンクリート、ウッドデッキ

主な内部仕上げ

リビングダイニングキッチン
 床 ナラ無垢フローリング
 壁 クロス貼り、タイル貼り
 天井 クロス貼り
和室
 床 琉球畳敷き
 壁 漆喰塗り
 天井 漆喰塗り
寝室
 床 ナラ無垢フローリング
 壁 ラワン合板貼り
 天井 ラワン合板貼り
子供室
 床 ナラ無垢フローリング
 壁 ラワン合板貼り
 天井 ラワン合板貼り
工事費 2500〜3000万円

工程

設計期間 2015年5月〜2015年11月
工事期間 2015年12月〜2016年5月

撮影

長谷川潤

2階平面
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1階平面 縮尺1/200
クリックで拡大
断面図 縮尺1/200
クリックで拡大

吉川直行

[茨城県つくば市]

1972年茨城県生まれ/1997年神奈川大学工学部建築学科卒業後、EIデザイン設計事務所、ラスティック建築研究所を経て、2003年渡イタリア/2004年株式会社MUJI HOUSEに勤務/2005年吉デザイン設計事務所設立

 家具職人になりたかったという奥様。初めてお会いした際、モノや空間に対する発想が豊かで愛着にあふれている印象を受けたのを覚えています。
 アイアンや木、石などの素材の組み合わせ、古いモノと新しいモノの組み合わせが好きという奥様から、大きな木、ハンモック、ウッドデッキ、ミシン、暖炉、ご夫婦だけの夜の晩酌などのキーワードを聞きながら、西側隣地の緑の借景を背にすぐに浮かんだのが、三角屋根に暖炉の煙突が見える巣箱のようなシンプルなフォルムでした。
 間取りは、全ての部屋が大きな吹き抜けを中心に配置され、どこにいても家族の気配が感じられる空間となっています。
 玄関ドアを開けるとまず、暖炉のある土間、土間続きのウッドデッキ、ウッドデッキの向こうの庭がパッと目線の先に広がります。土間を曲がると大きな吹き抜けのあるリビングダイニング、鉄骨階段が現れ、リビングに上がるとこぢんまりと居心地の良い畳スペースが迎えてくれます。小宇宙のように、歩を進めるごとに様々なシチュエーションがまるで打ち上げ花火のように次々と現れ、ワクワクと胸が踊る動線は毎日の暮らしをより豊かに彩りを与えてくれるでしょう。
 毎日の家事動線も、玄関から玄関収納、キッチン、家事室、トイレ、洗面、お風呂の順で一直線に裏動線を配置しました。キッチンは吹き抜け前の家の中心に配置。この家の司令塔のように、吹き抜けを通して奥様の元気な声が家中に届くことでしょう。

ASJかしわ・もりやスタジオ

[有限会社Beハウス・アクト]

エンジニア:北澤真之
 ご主人にお会いしたとき、優しい方だという第一印象を受けました。奥様は元々家具製作などのお仕事をされていた関係で、建築に関しても思い入れがある方だと思いました。
 建物に関しては、外部の全面にアスファルトシングルを施工するため、雨漏り対策・風でのめくれ対策は重点的に気をつけました。納まりの打ち合わせと施工を特に入念に行っています。
 内部に関しては、カウンターや壁の一部がモルタル仕上げ、2Fは全面ラワン合板での仕上げでしたので寸法だしや、小口などの細かい納まりに特に注意し施工をしていきました。
 お引越し後、家具などが入った後の雰囲気がとても良く、お子様の部屋の色合いやリビングの家具、キッチンのモルタルとキッチン用品などが、特に印象に残っております。ご家族にずっと心地よく暮らしていただければと思います。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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