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ASJ Works Close-up

ホールのようなリビングで極上の音に包まれる家

静岡県浜松市

浜北の家

設計 井上昌彦/L.V.M.計画一級建築士事務所
施工 ASJ浜松スタジオ[株式会社マブチ工業]

 誰もが一度は、自分の趣味を思う存分堪能できる家に暮らしたいと思ったことがあるだろう。この浜北の家は、音楽を愛する一家が音楽を心ゆくまで楽しむために建てた家だ。
 ご主人様と奥様はともにトランペット奏者として、それぞれ吹奏楽団に所属。ご長男もかつては打楽器を演奏し、ご次男はいまもご両親とともにトランペットを携え、演奏会に参加することもあるという。
 そんなN様ご家族がお母様と5人で暮らしていた以前の家は、築30年が経ち、使っていない部屋も多く、とにかく冬は寒かった。しかも床材が浮いていたり、壁が剥がれていたりと、建物自体がかなり傷んでいた。
「そこで建て替えを考え、県内にある住宅展示場を回ったんですが、住宅メーカーが提案するプランには、どうにも面白みがなくて。こちらの希望は叶えられていても、なんというか、想像できる範囲にとどまっている感じがしたんです」
 しかし、想像を超えるプランを求めて建築家に依頼したくとも、アプローチの方法がわからない。そんなとき、新聞広告で見つけたASJのイベントに参加したのが、この家を建てるきっかけとなった。
 そしてN様のご希望に合わせてASJ浜松スタジオが推薦した井上昌彦さんが設計を担当することになり、〝建築家との家づくり〟がスタートした。

①ガルバリウムと白壁のコントラストが美しい外観。庇が深いので雨の日も安心だ。
②玄関脇の中庭に施された格子は、木材の幅に違いをもたせ、独特のリズムを表現。

③リビングでくつろぐN様ご夫妻。大きなスピーカーにはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の名プレイヤーのサインが。

「とてもワクワクしました。やっぱりプロの発想はすごい。家づくりって、面白いなぁって思いました」とご主人様。笑いの絶えない打ち合わせを重ね、N様御一家のこだわりの詰まった家が完成した。
 ご主人様がもっともこだわったのは、一階のリビングルーム。「仕事から帰ってきたら、音楽に癒されたい」との希望を映して、空間のサイズや、壁や床の材質を緻密に計算した吹き抜けの大空間がつくられた。よりクリアな音を楽しむため、壁には吸音効果のあるサランネットを施したほか、床はコンクリートに床材を直張りし、主に低音の共鳴を抑えたという。さらに、壁には30㌢以上の厚みをもたせることで、余計な共鳴を抑える効果を高めている。もちろん、近隣への音漏れも心配ない。

④奥様は、調理中の手元が見えない絶妙な高さのキッチンカウンターがお気に入り。家族の食卓を彩るのはトランペットが描かれた絵画。

⑥2階のランドリールームには、引き出し収納を備えた小上がりを設置。
⑤ダイニングには大容量の収納を設置し、食器や食料をすっきりと整頓。

 奥様のこだわりは2階の南側に位置するランドリールーム。洗濯物を干すことができる広めのテラスを備えながらも、天気の悪い日には室内干しもできるのが、とても便利。さらには小上がりも設置して、愛猫とともにお昼寝も可能。しかも大容量のウォークインクローゼットに隣接しているため、乾いた洗濯物を片付けるのもラクなのだ。
 そして、玄関からすぐのダイニングキッチンもご家族にとって大切な場所。以前はダイニングの居心地の悪さから、それぞれの個室で食事をとることが多かったそうだが、食事をしながらでも料理をしながらでも、窓から中庭が眺められる場所を家の中心に配置したことで、ここで食事するようになったという。
 また、玄関を入って右手の和室と寝室はお母様のためのスペース。朝の支度以外に、ちょっとした洗いものにも使える洗面台を設け、和室を出てすぐにお手洗いもあるので、使い勝手もよさそうだ。
「あたらしい家になってから、家に帰るのが早くなりました。家のなかがあたたかくなったし、2匹いる猫たちも元気になったみたい」と奥様。いつかはリビングで、家族揃って演奏会をしたいと、夢を語ってくださった。家族がひとつになる。家は、そのためのステージだといえるだろう。  

(取材/吉田桂)

⑦最高の音を楽しめるように緻密に計算されたリビング。ロフトの棚には、まだ運び込めていないという楽譜を、これから収納する予定とのこと。

⑧ホールの二階席ともいうべきロフト。ここで過ごすひとときも、また格別だ。
⑨中庭からの光が入る、明るく清潔感あふれる玄関。

■浜北の家

所在地

静岡県浜松市

主要用途

専用住宅

家族構成

夫婦+母+子

設計

井上昌彦/L.V.M.計画一級建築士事務所

構造 馬瀬構造設計事務所  担当 竹野富夫

施工

ASJ浜松スタジオ[株式会社マブチ工業]

担当 越前隆、山村舞

設備 村松配管株式会社

電気 有限会社信和電送

構造・構法・規模

木造在来工法

地上2階

軒高 6,276mm 最高の高さ 6,480mm

敷地面積 542.18㎡

建築面積 150.11㎡(建蔽率27.69% 許容60%)

延床面積 174.40㎡(容積率32.17% 許容200%)

  1階  126.93㎡

  2階   47.47㎡

主な外部仕上げ

屋根 ガルバリウム鋼板タテハゼ葺

外壁 ジョリパットコテ押さえ、ガルバリウム鋼板タテハゼ

開口部 アルミサッシ

外構 アプローチ:コンクリート洗い出し

主な内部仕上げ

リビング

 床 ジャトバ三層フローリングt14

 壁 シナ合板+押縁 自然塗料塗布(吸音部ジャージークロス)

 天井 シナ合板+押縁 自然塗料塗布(吸音部ジャージークロス)

ダイニングキッチン

 床 タイル ビニル床タイル

 壁 珪藻土クロス

 天井 珪藻土クロス

個室−1

 床 畳敷

 壁 珪藻土クロス

 天井 ビニルクロス

個室−2

 床 カーペット敷込

 壁 珪藻土クロス、ビニルクロス

 天井 珪藻土クロス

工程

設計期間 2015年3月〜2016年2月

工事期間 2016年4月〜2017年1月

撮影

長谷川潤(表紙 ③④⑤⑥⑦⑧⑨)

杉野圭(①②)

断面図 縮尺1/200
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1階平面 縮尺1/300
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2階平面 縮尺1/300
クリックで拡大

井上昌彦

[京都市]

1960年京都府生まれ/1985年京都工芸線大学工芸学部住環境学科卒業/1990年L.V.M.計画一級建築士事務所設立

 この家の敷地は、浜松市北部の田園地帯が広がる長閑な地域にあり、北の遠景には美しい稜線が望めます。隣接地は空地が多く、緑も豊かで開放感あふれる恵まれた環境です。
 建主のNさんご夫妻は趣味で本格的なクラシック演奏をされます。ご主人の第一のご要望は「満足できるオーディオルームをつくること」でした。オーディオルームはご指定の音響方式を採用し、建物の西側に配置すること、そして一日の疲れが取れるようにゆったりとくつろげる空間にしてほしいとのことでした。一般的にオーディオルームは窓のない閉鎖的な空間になりがちですが、この部屋はリビングでもあり、2階への階段もある日常的な空間であるため、心地よい光と風が十分に入る開口部を南北に設けました。日常的でありながら小ホールのような緊張感も併せ持つ空間になったと思います。
 奥様は家族の一員である飼い猫たちが安心して遊べる中庭をご希望でした。ダイニングキッチンから目が届くように配置した中庭には、正面に深めの格子と軒下空間があります。小さく囲まれていながらも開放感のある外部空間になりました。軒の深い正面のアプローチは、大らかな雰囲気の敷地の中に程よい陰影をつくります。この半屋外の空間は玄関前で人を優しく迎え入れ、和室の前では外部との緩衝空間になっています。開放的で大らかな環境の中に適度な陰影のある空間を加えることで、奥行きを感じる穏やかな家になったと思います。
 Nさんご夫婦との打ち合わせは終始楽しい雰囲気で進展し、時にはいろいろ脱線し、着工後は現場監督さんも含めた楽しいチームワークで最後まで工事ができました。N様ご家族と工事関係者の皆様にお礼を申し上げます。

ASJ浜松スタジオ

[株式会社マブチ工業]

スタジオマネージャー:星野裕香
 N様は「未来をのぞく住宅展」に日曜の夕方お越しいただきました。
 趣味とこれからの人生を楽しむための住宅、時間を掛けてその家づくりの過程も楽しみたいとおっしゃっていました。しかしながら、これまでの情報収集と試行錯誤の中で、一般的な住宅づくりではご夫婦の望むものが手に入りにくいと感じ、少し家づくりにお疲れのようでした。それでも建築家と一緒につくるASJならば、ということでご興味を持っていただき、すぐにご入会いただきました。
 スタジオでのヒアリングではお求めのオーディオルームについて熱く語っていただき、そして遠慮がちに参考となる専門の本を鞄から出されました。ご自宅のリフォームの経験から今回こそはぜひ満足できるリスニングルームをと熱望されていましたので、その情熱に合う建築家をスタジオからご紹介する運びとなりました。
 作風と人格のみならずリスニングルームのご要望に応えるべく柔軟性を兼ね備えた井上昌彦先生をご推薦しました。井上先生との相性はばっちり!毎回の打ち合わせはN様ご夫婦の楽しい掛け合いに引き込まれ、ついつい長居をしてしまうことも多々ありました。完成した住宅にお邪魔すると、笑い溢れる打ち合わせの様子が思い出されます。
 工事中はご自身もモノづくりに携わるご夫妻には、なにかとご理解とご協力をいただき、素晴らしい建物が完成しました。井上先生にはN様の夢を叶えるべく、ご尽力いただきありがとうございました。
 竣工お引渡し式では「浜松スタジオで建てて良かった」とのお言葉、スタッフ一同、感激しました。楽しい家づくりは無事竣工に至りましたが、これからご家族とねこちゃんたちで素敵なお家での生活を楽しんでいただきたいと思います。
 ご心配事やお困りの事など、どんな小さなことでも気軽に呼んでいただける関係を継続していきたいと思っております。数ある選択肢の中から当スタジオを選んでいただき誠にありがとうございました。

この記事は、ASJの会員向け会報誌「A-Style Monthly」に掲載されたものです。

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