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建築家のお話

心癒される”なごみ空間”を目指して

2016年5月26日 :建築家のOff Time


RABBITION 一級建築士事務所 倉島和弥さん[55歳]

自然素材をふんだんに用いた健康的な心地よい住まい。
家族にとって心地よい空間は、まるで”うさぎ”のようだ。
そう、柔らかで暖かで心癒されるような———。

取材/吉田桂 撮影/山本育憲

埼玉県入間市に位置する閑静な住宅街に、うさぎのモチーフがあしらわれたウェルカムボードと掲げる一軒の家がある。こちらが、建築家・倉島和弥さんの自宅だ。
 
玄関のドアを開けると、そこはうさぎグッズの大洪水。鬼瓦になった雄々しいうさぎ、とぼけた表情の張り子のうさぎ、日の丸の扇子を手にバンザイするうさぎ……、いろんなうさぎたちが来訪者を賑やかに迎え入れる。
その表情ひとつずつ見ていくと、次第に暖かな気持ちになり、自然と笑みがこぼれてくる。

玄関のホールにはブロンズや真鍮など、小さくても精巧に作られたオブジェが並ぶ。

倉島さんがうさぎグッズを集め始めたのは27年前、結婚してすぐのことである。初めて購入したのは、月とうさぎが描かれた端正な古伊万里の絵皿だ、益子に傘立てを買いに出かけた先で、偶然立ち寄った骨董屋で見つけたのだという。

益子の骨董屋で購入したという古伊万里。ここから壮大なコレクションが始まった。

「伊万里にうさぎのモチーフがあることは発見でした。それからしばらく骨董屋に通ったんです。そうやって見ていくと、同じ”うさぎモチーフ”でも、みんな違う。いろんな表情があるんです。いじわるな顔とか、まぬけな顔とか。
描かれる情景もさまざまです。月や波は物語にもあるのでよく見かけますよね。単に可愛いだけではない、モチーフとしての面白さに深みを感じて、それからは自分の感性に合った味のあるものを選ぶようになりました」

[4]京都の骨董屋「てっさい堂」で購入した蓋付き茶碗。日本においてもうさぎは古来より多用されてきたモチーフなのだ。高台に”富貴長春”の銘が記されている。
[5]一口に”うさぎ”と言っても、表情はさまざま。右のとぼけた表情のオブジェはヴェニスで購入したもの「表情もポーズもひと癖あるものが」好きです」と倉島さん。

そうして集まったうさぎグッズは実に300以上。
 
「これはヴェニスで、これはニース、そしてこれは那須の古道具屋で買いました。歩いているとうさぎに呼ばれるんですよ(笑)」
 
と、行く先々で出会ったうさぎたちにまつわるエピソードは尽きることがない。
 
そんなうさぎグッズの中に、小さな木製の椅子がある。材料となったのは、なんと自宅の庭にあった白樺なのだと倉島さんは言う。
 
「植樹してから 30年以上も庭で育っていた白樺だったんですが、あるとき根元から折れてしまって…。しかし驚くことに、家にもクルマにもぶつかることなく、電線も切らずに倒れていたんです。これは大したもんだと思い、材木屋さんに白樺で何かを作ってほしいと頼んだら、うさぎの椅子になって帰ってきました。
僕は家づくりのテーマとして、心がホッとするような”なごみ空間”を目指しているんですが、その一環で環境保護を考えて地元の山の木を使うということを提案しています。これは、まさにその実践でしたね」
 
倉島さんの家、そしてそこに住む家族のことを思いやったかのように上手く倒れた優しい白樺が、温もりあるうさぎの椅子に姿を変えた。なんとも心がほっこりと癒されるストーリーである。

庭で育った白樺で作られたという”うさぎ椅子”を手に、手作りに対する考え方を語る倉島さん。一堂に集結した300以上ものうさぎグッズのコレクションは圧巻だ。

「数学や言葉では計ることのできない、曖昧な感覚である”心地よさ”は、とても重要な要素だと考えています」
 
と倉島さんは言う。
目に見えない”心地よさ”は天然木の大らかさ、土壁の素朴な手触りによって生み出される。それはもしかしたらうさぎのもつ柔らかさや暖かさといったイメージと重なるのかもしれない。
笑ったり、すましたり、おどけたり、愛らしい表情を見せるうさぎたち通して、倉島さんが目指す”なごみ空間”の真髄が見えてくる。

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