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建築家のお話

オトナにしかわからない 一人では操れないヨットの魅力

2016年5月26日 :建築家のOff Time


アトリエスクエア 大場浩一郎さん[54歳]

ヨットと仕事は不離一体。
海へ誘って誘われて、明日への活力が満ちてくる。

取材・撮影/坂口紀美子

「趣味はヨット」。なんともオトナな響きではないか。
福岡市の建築家、大場浩一郎さんがヨット歴30年と聞き、早速建築事務所にお邪魔した。
 
大場さんは大学時代、ヨット部の友人に誘われ小帆船ディンギーに初乗船。そのわずか2年後、自家用車よりも先にキャビン付きヨットを買い、独力でセーリングを覚えたつわものだ。
最初の頃は何度となく海に転げ落ちそうになったり、冬の強風にあおられて冷たい海に浮かんだことも。それでも毎週のように仲間で集まって船内に泊まりこみ海へ出た。
それからあっというまに三十数年が過ぎた、という感じなのだろう。
 
「とにかく、乗っていれば楽しい。天気がいいと仕事どころじゃない…という時期もあったね」
 
と笑う。
 
2艇目に乗り換えたころから、市内のヨットハーバーをメインポートに「福岡博多ヨットクラブ」に所属。本格的にレース出場を始める。
月に一度のクラブレースを基本に国内外レースの他、ハワイ・ワイキキ沖で開催される世界のメジャーレースであるケンウッドカップ(1998年)やアサヒスーパーカップ(2001年)等に出場した。
総勢30人のクルーで臨んだハワイ遠征は、一年間かけて練習を重ねたといい、
 
「技術のばらつきを補い合うクルーワークが不可欠。ヨットは一人では操縦できない、そこが魅力でありクルー集めに苦心するところ」
 
と話す。
大場さんはケンウッドカップでポイントレースの舵取りを担い、世界の強豪を相手に上位をキープしたという。
 
実は取材翌日もレースが開催されると知った筆者の目が期待に光ったのだろう。「ヨットの魅力は、乗ってみなわからんね」と、急遽乗船することに。
事務所からハーバーまで車で30分。手際よくメインセールが取り付けられ瞬く間に博多湾沖へ向かった。帆が風を拾い、全長10メートルものヨットがスススーッと波の上を滑ってゆく。さっきまで陸地にいたのが嘘のようだ
玄海国定公園に指定されている能古島からは春にはウグイスの鳴き声が、初夏にはアジサイの彩りが楽しめるという。
しかし、島影に入ると風が止んでヨットは途端にスピードダウン。再び大場さんがわずかな風を探り、船の向きを変えると、息を吹き返したように進みだした。夕凪直前の穏やかな波の揺れと帆を膨らませる風の音が心地よい。
夢見心地の筆者の隣で、大場さんは
 
「前方のヨットを追い越してゆく時の波の音と、後ろから追い立てられるときの波の音は全く違うんだよね」
 
とぽつり。
すでに心は次のレースにあるようだ。

[2]ヨットが金持ちボンボンの手慰みなんて誰が言った?かなり肉体派のスポーツと実感。
[3]大場さん推奨の、マストに登った位置からのショット。大海原を一望できて気分は最高!同乗はアトリエスクエアの長谷部さん。

少しの間、舵を握らせてもらった。手前へ奥へ、舵を切るたびに手のひらに微かな揺れが返ってくる。まるで海の胎動に触れるよう。
 
「ヨットは時代において最も優れた乗り物。時には生き物を触っているように感じる」
 
と大場さんが話された意味が、少しだけわかった気がした。
 
「ヨットと仕事、双方が密につながっていて、片方が無いなんてあり得ない」
 
と大場さん。
気づけば手が届きそうな位置まで沈んだ真っ赤な夕陽を見つめつつ、最高のオトナのオフタイムに感謝。さあ、明日からもがんばろう!

事務所にはヨットのモービルが揺れる。「建築もヨットも、無理をしないことが肝要。たかが人間の力で自然に抗って、無理をした設計は辛いでしょう」と大場さん。

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